田代まさしと懲りない面々。 | プールサイドの人魚姫

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うつ病回復のきっかけとなった詩集出版、うつ病、不登校、いじめ、引きこもり、虐待などを経験した著者が
迷える人達に心のメッセージを贈る、言葉のかけらを拾い集めてください。

田代 刑期満了で刑務所を出所する時、刑務官は受刑者に対し「二度と戻って来るんじゃないぞ」と声を掛ける。
その時の刑務官の顔は自分の息子をたしなめるように怒ってはいるが、心の中では安堵と不安が入り混じり、複雑な心境である。
世間様に迷惑を掛け、陽のあたる場所を歩けなくなった前科者に対する世間の風当たりは冷たい。初犯ならばやり直せるチャンスを与えてはくれるものの、これが度重なると面会に訪れる人、出迎えに来てくれる人さえもいなくなる。
6月26日、一人の男が満期を向かえ約3年振りに刑務所の外に出た。
元タレントの田代まさしである。深々と刑務官に頭を下げ、「お世話になりました」と挨拶をする。
灰色の雲に覆われた梅雨空の切れ目から、微かに陽が差し込んでいた。
娑婆の空気を胸一杯吸い込むと、天を仰ぎながら彼は呟いた。
「やり直すしかない、このまま終わってたまるか…」しかし彼には戻る場所がない。
身元引受人すらいないのである。
芸能界には魔物が棲んでいる。それは時として人の生き方を大きく狂わせてしまうことがある。
人気絶頂の時ほど忙しさのあまり、ストレスの影響も手伝って自分を忘れてしまう。
こんな状態の時に「魔が指す」という言葉が使われる。
盗撮や覚せい剤などといった犯罪に走ってしまう芸能人は彼だけではないだろう。
芸能界はある意味やくざな世界である。よく言えば何でも受け入れる懐の深さ。
極楽とんぼの相方だった元お笑いタレントの山本圭一が、芸能界に復帰すると言う噂さえ聞こえてくるほど芸能界とはモラルなき世界とも言えるだろう。
それは「芸は身を助ける」という諺とは全く別の方向に進んでいる。
金になればそれでよい=所詮タレントは見世物と言う、差別的な古い体質をいまだに抱えているという事実が存在すること。
それを見て喜ぶ人があり、軽蔑する人があり、恐いもの見たさの心理を突いたディレクターやプロヂューサーの思惑が見え隠れしているのである。
田代まさしは心を病んでいるようだが、やはり彼を食い物にする輩はおそらく居るだろう。
彼もまた華やかな時代を忘れられずに、恥を曝してもよいから復帰を願っているかも知れない。
芸能界の明と闇。自分に溺れてしまった人間ほど藁をも掴むものである。