今年も残すところ二ヶ月を切った。この一年を振り返って見ると偽造や偽装、改ざんなどのオンパレードであった。自由競争の経済社会の中でたくましく生き抜くには、狡猾な企業でないと存続出来ないのだろうか。消費者を裏切ってまで売り上げを伸ばさなければならないほど、営業面で追い込まれていただろうか。
企業の不祥事がこれほど多く明るみに出てきた背景は「内部告発」によるものが殆どである。正式名称は「公益通報者保護法」というが、この法律はまだ出来てから日が経っていない。2006年4月に施行されたばかりで、国内に浸透するにはまだ時間が必要だろう。
我々一般消費者が持つ価値観は、製造する側の売主が持つ価値観と大きなずれが生じているように思われる。これは企業優先の経済社会がもたらした日本国家の大罪でもある。ニートやホームレスが増え、仕事を奪われた人たちの行き場が失われて行く中で、それでも必死に仕事にあり付けた人たちは、会社の方針に逆らえない。嘘と解っていても自分たちの収入源を捨ててまで会社に盾をつく事が出来ない、弱い立場の人間が多くいるのである。
食品に於ける偽装は最も簡単で単純な作業である。売れ残った物をそのままラベル表示だけ差し替えて明日の売り場に並べるだけ。子どもでも出来ることだ。
最近騒がれている「船場吉兆」は街中に多数存在するスーパーとは違い、高級料亭や加工食品販売を営むブランド企業である。彼等の罪は不正競争防止法違反(虚偽表示)であるが、高級と謳うだけあって、食材は一流の食材を使用しているらしい。牛肉でも豚肉でも解体されてバラバラになってしまえば、素が何だったか判断し難い。実際に食してみて、ああなるほどやはり一流品だと分かる人間がどれだけいるだろう。グルメ評論家たちに食べてもらい偽物探しの番組でも作ったらヒットするかも知れない。
一ヶ月の家計を預かり、決められた収入の中で如何に赤字を出さず一ヶ月を乗り切るか、殆どの消費者にとってみれば、偽物だろうと本物だろうと安くて腐っていなければそれでいい、というのが本音ではないだろうか。
売主も正直に売ればそれで済む問題で、売れ残った商品は飛び切り安い値段で「残り物」として売ればよい。消費期限、賞味期限などまったく曖昧で殆ど意味を持たなくなった今こそ、正直者が良い思いをする社会を作りたいものである。