ジョーズでしょう。 | プールサイドの人魚姫

プールサイドの人魚姫

うつ病回復のきっかけとなった詩集出版、うつ病、不登校、いじめ、引きこもり、虐待などを経験した著者が
迷える人達に心のメッセージを贈る、言葉のかけらを拾い集めてください。


鮫 地球上で最も神秘と謎に包まれている場所、それは海である。光も指さない深海の奥深く、それは宇宙空間にも似て、人類の好奇心を揺さ振り続ける。名前さえ分からぬ魚類や微生物などが自ら光を放ち、まことしやかに獲物を誘う。
生物の故郷でもある海、人間の身体も3分の2は水分であるし、指の付け根を見れば遙か彼方の痕跡が垣間見える。海から誕生した人類も死ねば骨となりそれはやがて水へと帰って行く。
昨夜の木曜洋画劇場は「JAWS」だった。一体この映画を何度見たことか。1975年に公開されたこの作品、監督のスティーブン・スピルバーグの名前を決定的にさせた海洋パニック映画の傑作である。
1975年と言えば当時わたしは19歳、レンタルビデオ等という便利な物はなく、映画は劇場で見るのが当たり前だった。30年の時を経てもこの作品が色褪せないのは、人間の最もシンプルな恐怖を見事に描いているところにある。
つまり、動物の持つ本能として追い詰められる事が如何に恐怖心を呼び起こすかである。映画の内容は至って単純で、深く頭で考える事ではなく、身体と心理が一匹の鮫により、袋のネズミの如く迫り来る恐怖に人間が如何に自然の前では愚かで無力かを思い知らされるのだ。
しかし人間には最大の武器とも言える智恵があった。それが他の動物と人類の大きな違いなのである。原作では署長のみが生き残ると言う設定となっていたが、さすが、天才的な映画を作る監督ならではのエンディングが見るものへ希望をプレゼントしてくれる訳である。
鮫を扱った映画は多くあるが、このジョーズ(顎)を超える作品にいまだ出会っていない。