足音も立てず忍び寄る死の予感に彼は気付くこともなく、病に対する苦しみや悩みをも抱えこまず黙ったまま、わたし達の前から姿を消した。
吉田拓郎が作った「たどり着いたらいつも雨降り」アルバム「元気です」が悲しみにくれている。
彼の人生はいつも雨降りではなかった筈。
人前で歌う機会は減っても、俳優、タレントとして数々の番組に出演しGS全盛期の頃よりも、その個性的なキャラクターを活かしつつ、時にはモップス風にアレンジされた「たどり着いたらいつも雨降り」を聴かせてくれた。
それなのに最後にたどり着いてみたら、今度は涙の雨が降り注ぐ。ファンの涙が彼には届くだろうか。
肺癌で苦しみながらもコンサート活動を意欲的に続けている拓郎も、おそらく悲しんでいるに違いない。
だから今は「どうしてこんなに悲しいんだろう」をわたしは歌いたい。
