一部の週刊誌が発端となって広がった朝青龍の八百長疑惑。昨年の夏に行われた世界タイトルマッチ亀田興毅対ランダエタ戦を思い出した人も多いだろう。八百長が行われる背景には色々あるが、誰が一体得するのか。例えば賭け試合だったりすると暴力団が絡んで来たり、結構物騒な話しに発展する事もある。スポーツ界では私たちの眼が及ばぬところで裏家業の人たちが暗躍しているのも事実であり、あるある大事典ではないが捏造は日常的に行われているだろう。週刊誌も売り上げが命であり、ネタが尽きれば根も葉もないところからスキャンダラスな記事を思い付き、世間を騒がせて売り上げアップを狙うもの。そうでもしないと誰も読んではくれない。真実は二の次でとりあえず誰かを標的にしてしまえば、後は好き勝手に巧妙な文章で話題を作り上げてしまうのである。記事の内容に振り回される相撲協会や関係者、そして最もダメージを受けるのが標的にされた力士たち。次の場所にその影響は大きく現れ、いつもの相撲はとれずにどこか動きもぎこちなく精彩に欠けてしまうのである。八百長などそう簡単に出来るものではないが、相撲の世界では星を買ったり売ったりしている場合はあるかも知れない。素人に分かるような試合はまずしないだろうが、後になってあの取り組みはいかさまだったかも知れないと言われるような事では困るので、迫真の演技をする訳である。わたしが見た過去の相撲で一つだけわざと負けたと思われる取り組みがあった。昭和49年頃だったと思うが、第54代横綱の輪島対大関貴ノ花の一番だった。輪島と貴ノ花が親友だった事は相撲ファンであればご存知のはず。この二人はライバル同士でもあったが、天才力士と異名を持つ輪島と方や角界のプリンスと呼ばれ女性ファンも多かった貴ノ花。二人は同時に大関に昇進したものの、貴ノ花は大関が精一杯で、9勝6敗と常にファンを冷や冷やさせる相撲内容が多かった。その場所は確か角番だったと記憶している。もし負ければ大関転落という状況でかなり苦戦していた。そして横綱輪島との取り組みでより切りで貴ノ花が勝ち、何とか大関の地位を保つ事が出来た訳であったが、その試合で輪島の負け方が非常に不自然に思えたのである。わたしの思い込みなのかも知れないが、輪島が親友の為にわざと負けたように思えてならなかった。この試合について何処からも疑惑の取り組みだという声は上がらなかったが、これも一つの八百長だったのかも知れない。大切な友人を助ける為に星ひとつあげたと考えるなら、敵に塩を送った上杉謙信だとも言えるのではないだろうか。