浅野川沿いに佇む一軒の町屋。山鬼文庫 (写真集、工芸、音楽、写真、建築、漫画など、約2万5000冊の蔵書が保管されている) である。4月から12月までの間開いている私設図書館である。ただ金曜日から月曜日まで毎週4日しか開かない。

 

主は森仁史さん。日本美術の歴史を研究されている。運営は妻の中森あかねさんが専らなさっている。筆者はもちろん山鬼文庫を訪ねたことがある。築100年の建物の2階に上がらしてもらったが、窓からの景色に魅了された。浅野川にさやかに流れる水が美しい。

 

観光客とは無縁である(だから観光ガイドブックにも載っていない)。あたりを訪れる人も少なく静寂の時が流れている。閉店の17時までならいくらいたってよいそうだ。

 

金沢は観光地が多く最近は外国人が増えてきている。主要な場所 (近江町市場とか兼六園など) はどこもごったがえしており騒がしい。美意識のある欧米人でも決まったところにしか訪れない人が多い。

 

そういう都会の喧噪を離れる知恵が地元人にはある。ここに金沢の神髄が隠れているのかもしれない。