昔の金沢②死語になった金沢弁? | 市民が見つける金沢再発見

昔の金沢②死語になった金沢弁?

【旧金沢市内】
最近、地元の人にも通じない金沢弁が多くなりました。当然、観光客には通じない言葉もあり、私も少し翻訳するので、金沢弁も大分怪しくなってきました。お陰で、観光客にはウケのですが、お前の言葉は、金沢弁ではないとか汚い金沢弁だと言われ、地元の人には不評です。



昔から、男が話す金沢弁は、怒っているように聞こえるところがあり、狭い地域なのに、場所や地区よってはニュアンスや語尾も違い、耳で伝え聞いたものもあり、また、親の出身地や時を重ねる毎に随分変ってしいます。それにしても男言葉はブッキラ棒で、どちらかと言うと汚い言葉のようです。




それに比べて、金沢の女言葉は、いわゆる「いじっかしい」人付き合いで、もまれに、もまれて代々伝わった言葉のようで、心が先か、周りからの影響か、そのどちらもが合いまって金沢独特の控えも目な「おもてなし言葉」が生まれたものと思われます。




しかも最近では、学校の教科書やTV・ラジオなど、そして核家族化から祖父母と生活の場が違うこともあり、金沢弁が伝わりにくいのか、金沢の文化が消えていくようで寂しいかぎりです。昭和7年に発行された「昔の金澤」の”金沢の方言及訛言“には、84年前に書かれたもので、聞いたことのある言葉もありますが、私でも知らない言葉が出てきます。



≪84年前金沢の方言及訛言≫


ほとんど使わなくなった方言(死語?)
バンショ
(安火)、ブクリ(下駄)、オンドベ(お尻)、ケツベタ(尻辺り)、アカニシ(しぶちん漢)、ハナガイキ(風邪)、インナ(品々な)、オチョバヤシ(追従・おべっかをつかう)、カンポ(妾)、オクセン(情夫)、ドンタクレ(淫婦)、アバ(庶民の老女の自他称)




私が、聴いたことのある方言
アホノク
(仰向く)、マブイ(眩しい)、アベル(泳ぐ)、ネマル(坐る)、ヘチャ(下手)、ヤンチャ(不潔)、アセナイ(忙しい)、ガマ(横着)、ヘシナイ(待ち遠しい)、ウシナケル(失せる)、ヘイロクナ(滑稽な)チョッコシ(少し)、カカリイウ(冗談いう)デッカイ(大きい)、カラウサンナ(確かでなく、怪しい)、モノイ(疲れて辛いこと)、ケッタイナ(奇体な)、アンマ(兄)、アンニャマ(姉)、タンチ(小児)タータ(女児の自称)ハクシャ(嚏・くしゃみ)、ハチャクチャモノ(麁忽者・そこつもの)、コウバクナ(大人振る)、ウザクラシイ(厭しい)、ハンパナ(粗略な)




耳で伝わったと思われる方言
アラネ
(霰)あられ、サブイ(寒い)さむい、ハウチャ(包丁・ほうちょう)、ホウケ(箒・ほうき)、イノカス(動かす)、アスブ(遊ぶ)、コスキダ(雪掻板・こしきだ)、スズメ貝(蜆貝)しじみがい、ネンジン(人参)にんじん、ゴンボ(牛蒡)ごぼう、イビ(指)ゆび、スル(剃る)、カヤイ(痒い)




今もよく使う方言
ダラ
(馬鹿)、ダラクサイ(馬鹿みたい)、ミトモナイ(醜い)、ツカマル(捕らえられる)、ナンゾゲニ(粗略に)、シモタ(失敗した)、チョコチョコ(折々)。


(果たして、どれだけ若者に伝わっているやら・・・。)


参考文献:「昔の金沢」氏家榮太郎著 金沢文化協会 昭和7年5月発行など