美祢線最後の貨物列車 マイクロエースのタキ1100 | 金屋代かずおのお部屋

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周防大島町を拠点に鉄道旅行・鉄道もけいの活動を行っています.

 

最後の美祢線貨物列車

本日はマイクロエースから過去に発売されたタキ1100を紹介します.

製品は2種,

「宇部レールサポート」と,

「宇部興産セメントサービス」があります.各8両セットでした.ただし,列車は通常11両編成で運転されていました.

 

このタキ1100は,美祢駅からの炭酸カルシウムを,山口線を経由して山陰本線岡見駅近くの中国電力三隅発電所へ輸送し,その帰りでフライアッシュを美祢に持ち帰るという,当時としては画期的な輸送方法でした.牽引機は幡生機関区厚狭派出(→門司機関区)のDD51が重連で牽引,最末期に使用された1147号機以外は全て原色で,撮影でも人気があった列車です.必ずしも毎日走っているわけではないのが難点でした.

 

地元の車両ではありますが,このような説明の難しさからなかなか「鉄道もけい展示会」での出番はなく,前回の展示会でようやく初登場です.来場者の方からすると単なるUBEの貨物列車に見えますが,美祢線が幹線であった理由が伝われば良かったのではと思います.

 

ところで

本日2023/7/28は,2013年に島根県・山口県を襲った豪雨からちょうど10年となります.この雨で山口線が壊滅的な被害を受けましたが,多くの尽力もあり約1年で復旧しました.この間には「SLやまぐち号」を地福で折り返して運行されたこともありました.当然このタキ1100を使用する貨物列車も運休を余儀なくされましたが,残念ながらこの豪雨からの復旧後は運行されず,2015年をもってJR貨物の第二種鉄道事業が廃止,名実ともに美祢線の貨物列車はその長い歴史を終えました.

美祢駅の周辺には現在も専用線やヤードの跡が残っています.この列車の廃止をもって美祢線が「幹線」たる役目を完全に失ってしまい,鉄橋が流された現在となっては,営利的に運営するという前提に立てば存続が許されない路線となってしまいました.

 

先日の錦川清流線の沿線においても,小さい橋の一部は流されており,本来ではあれば,鉄道に使われているほど大きな橋が流される,ということは特別な出来事です.しかし,このように毎年のように全国各地で次々と鉄道の橋が流されるということは,現代の気候・社会の変化に現在の鉄道が対応していないということであり,抜本的な作りかえが必要,そして,それが必要なだけの経済的価値がないのであれば,大金をかけてまで治せとは申しませんが,朽ち果てるのみであってしまって良いのかと考えさせられます.