【報道】ポスト「奥出雲おろち号」・春の臨時列車など | 金屋代かずおのお部屋

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周防大島町を拠点に鉄道旅行・鉄道もけいの活動を行っています.

(貴重な列車の行方やいかに)

 

本日はさまざまな報道・プレスリリースをまとめて紹介します.

(1/22に若干追記しています)

「奥出雲おろち号」運転終了後の木次線

各種報道機関から,「奥出雲おろち号」の運行を終了する2024年以降から,代替として「あめつち」を週に1回程度「出雲横田」まで乗り入れる案があると報じられました.また,「あめつち」の乗り入れができない「出雲横田〜備後落合」も走行するキハ120にラッピング車を導入するとも報じています.「あめつち」はキハ47型であるため,急勾配である出雲横田以南に乗り入れることができないとのことです(解決策はないことはないと思いますが手間と費用がかかります.記事後半に追記しています).「あめつち」はこの際に改装されるとのことですが,実は検査周期からずれると思われます.

一見すると木次線を盛り上げていくことをできる範囲でサポートしていこうと思いますが,実際にはJR西日本は「経営・導入上問題点がある,運転士の訓練が必要になるとして,財政支援があったとしても新規の観光列車は導入しない」としており,特に出雲坂根のスイッチバック周辺はほぼ何の手当てもなされないということになります.

出雲坂根駅の近くには道の駅「奥出雲おろちループ」や,その通りの雄大な道路のループがあります.木次線からすると車窓のクライマックスとなる道路であり,皮肉にも,この道路は木次線の存在意義を「日常利用」から「観光」へと180度変えてしまいました.しかし,報道によるとJR西日本は「おろち号の乗客は約40%が山陰地方から方々で観光列車の役割を果たしていない」とのことです.コロナ禍の昨今ではマイクロツーリズムが叫ばれておりますので妥当ではありますが,特に新幹線を運行するJR西日本にとって観光列車の存在意義は新幹線・特急列車を利用した中長距離利用者の獲得であるため,「奥出雲おろち号」,もとい木次線の「出雲坂根〜備後落合」の区間の役割はJR西日本に合わないものとなりました.今後のJR西日本と地元自治体の動向に注目します.「サンライズ出雲」に接続すれば良いのではないかという意見もあるかと思いますが,これでは地元に前泊されないため地元自治体の利益にはなりにくいです.

「奥出雲おろち号」の魅力についてはこのブログをご覧いただいている皆様にはご理解いただいていると信じています.ここで,筆者が2021年4月に利用した旅行記を紹介します.

 

 

一つだけ言えることは,相当魅力的な新造車でなければ「奥出雲おろち号」の後継にはなり得ないということです.存続維持のためには地元自治体の覚悟も問われます.

周辺地域でも

  • いわゆる「内部補助」に限界があるということでJR西日本の社長は「路線を見直す」旨の発言を行っており,芸備線は直接見直し対象になり得ます.広島支社では今後地元との対話が始まることになります.
  • 岡山支社では無人駅に一部の社員を派遣する「無人駅テレワーク」が行われていると報じられています.緊急時の対応にも役に立っているとのことです.

他の地域でも

こと.整備新幹線の並行在来線区間の今後のあり方は各地で問題となっていますが,北海道新幹線と並行する函館本線「長万部〜小樽」については,一見すると有珠山噴火に伴う室蘭本線の迂回路としての機能が期待されますが,実際には「DF200形式が走行できない」ということで,2020年代の現在であっては迂回路の役割は期待できません.有珠山の噴火は30年に1回程度起っており,2000年ごろの噴火では函館本線が迂回路として機能していましたが,このために鉄道を維持することは費用対効果に合わないという決断がなされてしまいました.おそらく,この区間のレールは剥がされるでしょう.
一方で,「余市〜小樽」はJR北海道への委託による運行継続の余地があるとのことです.余市は通学通勤需要が見込まれ,「ニッカウヰスキー工場」などの観光資源にも恵まれます.必ずしも町が衰退するわけではありませんが,鉄道がないと町の注目度が減るのも事実です.
 
この説の出典:

https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/5/0/0/2/0/3/3/_/【確定版】第11回後志ブロック会議議事録.pdf

春の臨時列車

1/21には春季期間に運行される臨時列車も発表されています.元気と言えるのはJR東日本で,こと水戸支社では以下のような意欲的な列車が設定されます(必ずしも運転されるとは限りません).

  • 12系を使用する客車列車である「水郡線復旧感謝号」(3/26・3/27)
  • 水戸線経由「常磐日光号」(5/7)
  • 北方面から乗り換えなしで偕楽園へ行ける「ひたち92号・水戸偕楽園号」(3/5)
  • 八王子発着武蔵野線経由特急「いわき」(4/2・4/3)

https://www.jreast.co.jp/press/2021/20220121_ho01.pdf

 

また,仙台支社では「とれいゆつばさ」が3/5・6の運転で引退となる他,仙山線では「風っ子」をED75に牽引させる列車が4/16に運転されます(初めてではありません).

https://www.jreast.co.jp/press/2021/sendai/20220121_s01.pdf

「あめつち」もDE10に牽引されれば三井野原・備後落合まで行けそうなものですが,三段スイッチバックの扱いや備後落合での着回し,プッシュプルで手間と費用がかかります.そもそも冒頭の「DE15 2558」は廃車されてしまっています,と追記しておきます.JR西日本ではJR東日本・九州と異なり,電車・気動車を機関車に牽引させる列車をほとんど運行していません.

 

「花たび そうや」号も3度目の設定がされました.今年こそは運行できることを祈ります.

 

https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/220121_KO_Harurin.pdf

 

そして冒頭の「奥出雲おろち号」もまずは5月までの運行日が決定しました.昨今指定券の入手が難しいこの列車,一部の金曜日に設定される,運行日と指定券発券日の両方が休日である「5/3」など,乗車のチャンスが増えています.

 

https://www.westjr.co.jp/press/article/items/220121_03_yonago.pdf

 

この機会にぜひ「奥出雲おろち号」にご乗車いただき,いかにこの列車が地元の方々に愛されていたかを感じていただければ筆者にとっても非常に嬉しいです,ということで,この記事を締めます.

 

※筆者は「あめつち」は未見・未撮・未乗です.

※テーマは「【特集】奥出雲おろち号」といたします.特集解消後は「【ニュース】その他JR・JR複数社」とします.