(待望のKATO完全新規が登場！)
(初出：2019/4；画像と製品の時代設定は異なります)
コロナ禍での経済活動は極めて制約が多く，2021年現在でもこと国際物流が混乱を極めています．模型・プラモデル業界でもガンプラが品薄になっているなど，需要増も相まって影響は大きくなっています．鉄道模型においても，KATOは2021/3の「サフィール踊り子」以降，日本型の完全新規製品の受注を開始できず，ユーザーももやもやとしています．しかし，「果報は寝て待て」をもじって「KATOは寝て待て」と昔から言われている通り，KATO側もあらゆることを行ってきたと信じていますが，年末の年末になってそれが一つ実りました．
智頭急行HOT7000系「スーパーはくと」
2021年度版のカタログに「予定品情報」として掲載された製品のうち，智頭急行の「スーパーはくと」がついに受注開始となりました．ボディはもちろん台車・床下機器も新規製作で，2021年12月発売予定です．既に試作品画像が一部公開されており，これまでマイクロエースの独壇場であったこの形式に切り込んできました．
しかし，かなり気になる点があります．
この製品は6両セットで，HOT7000系は6形式あるのですが，残念ながら貫通型先頭車「HOT7020型」が製品化漏れとなってしまいました．貫通型先頭車は3両しか存在しないにもかかわらず編成端・編成中間ともよく連結され，印象の強い車両です．しかし，現在の生産体制では製造できる形式が限られるのでしょう．実際に「HOT7020型」を模型化するには連結器・スカート周りをどのように処理するのかという難題があるのも事実です．この製品(品番「10-1693」)前後の品番「10-1692」「10-1694」は空いていますので，今後の展開に期待したいところです．おそらくは「HOT7020型を用意して欲しい」という声は(筆者も含めて)挙げているとは思いますが，ここは製品名に「(後期型・2次リニューアル)」などと付けておけば少しは要望数を減らしつつ，後続製品に期待を持たせられたかなという印象はあります．実際，HOT7020型は2002年ロットでは製造されていません．
模型的な変化として行先表示がフルカラーLEDになった2次リニューアルは2016年に行われているので，実は「トワイライトエクスプレス」とは並ばないのですが，今回は無事受注開始できたことを喜びます．
もう一つは価格です．6両セットでありながら27,500円と高額に設定されました．新規金型の製造に費用がかかるご時世であること，HOT7000系の実車の機能の一つであり，昼光色の照明下では室内が見えず，室内灯を装備した際には内部が透過して見える「ハーフミラー加工」という新ギミックが搭載されている事情はありますが，それでも高額になったという印象があります．HOT7020型が含まれていれば3万円を超える可能性がありましたし，実は発表直後は誤って3万円を超える価格が提示されていました．「スーパーはくと」は5両所定編成でしたので，5両セットとすれば少しは価格を抑えつつ，6両にする場合はAssyパーツで少し価格を上げられたかなという印象もあります．製品構成にはAssy1両組で，実車では列車中最も重要な接客設備である車椅子スペース・多機能トイレを設置し，セット製品ではモーター車である「HOT7040型」をトレーラー車で組み上げて編成の変化を楽しむことも提案されていますが，製品の高額さからAssyパーツも高額になるため，先述の製品追加展開の余地を考えると2の足を踏む方向になります．なお，「スーパーはくと」が7両以上で運行されることは，グリーン車未登場である登場直後以外ありません．
全車が富士重工で製造されたこのパワフルなディーゼルカーはいずれにしても現代の関西の鉄道シーンに必須であり，地域性が強いものの高い人気を誇る車両の決定版と言えます．「ホビセンフェスティバル」の動画公開を最初から1週間遅らせていたことも納得の製品です．発売が非常に楽しみです．
なお，HOT7000系は車両置き換えが決定しています．筆者が鳥取に行く場合は「スーパーいなば」を使う方が便利であるため未乗車ですが，「上郡→姫路」のみでも乗車しておきたいです．できれば「キハ187系」「キハ189系」「HOT3500型」もKATOで用意して欲しいですがちょっと難しいかもしれません．それよりも，カタログで予定品情報としてアナウンスされた新規製品「E235系1000番台」「N700S系」も早く受注開始できることを祈ります．
次回の「ホビセンフェスティバル」動画配信は8/8となります．