日田彦山線 ほぼ廃止決定 | 金屋代かずおのお部屋

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周防大島町を拠点に鉄道旅行・鉄道もけいの活動を行っています.

どうやら,この先で線路は途切れることになるようです.

 

さる2020/2/12,JR九州と沿線自治体が「日田彦山線復旧会議」を開催し,2017年の豪雨以降,運行が止まっている日田彦山線 添田〜夜明をBRTにより復旧することがJR九州から提案されました.鉄道での復旧が模索されていましたが,JR九州にも沿線自治体にも費用負担の余裕はなく,当該区間の鉄道での復旧はほぼないと言ってよいと思います.

背景

思うに,本来鉄道路線は(法的にはともかく)完全な運行事業者のものではなく,沿線自治体のものでもないため,安易に(敷設・)廃止すべきではありません.しかし,決して盤石な運営基盤を持っているわけではないにも関わらず上場企業となったJR九州には,赤字かつ,どのように考えても鉄道としての役割を終えた路線の維持には,鉄道の意義を理解していない機関投資家[1](外国資本含む)を含む株主に説明が必要であり,まず理解は望めません.「久大本線のバックアップ」として使用するにも,久大本線

が被災した場合は日田彦山線も高確率で被災している(今回もそうでした)ため,あまり意味はありません.かつては美祢線・日田彦山線経由の浜田〜天ヶ瀬の急行列車もありましたが,このような列車も,道路の整備により役目を終えています.

バス転換後は

幸いにも,今回のバス転換では,添田駅での鉄道との対面乗り換えを実現する,釈迦岳トンネルを活用した専用道を整備する,廃線跡を活用したスポーツ・観光向け設備を整備するなど,住民の利用向けとしてはかなり便利になります.JR九州も,沿線自治体も,大金を払わずとも損失の減少・利便性を確保すれば十分と言えます.もともと鉄道を利用した観光客は減っている地域であり,線路がないところで地域の発展の妨げに...ならないかどうかはこれからの取り組み次第であります.

他路線も含めた将来

この廃止により,(もはや日田どころか彦山にもいけませんが)日田彦山線は思い切った整備ができます.415系の老朽化が問題になっている関門トンネル区間共々,新型気動車を投入して輸送改善を図ることが考えられます.北九州市への通勤路線の性格が強くなるため,いわゆる3ドアの「通勤型気動車」が投入できそうです.小倉駅にホームドアを取り付けることも容易になります.

下関駅で「田川後藤寺行き」「添田行き」を,日田彦山線沿線で「下関行き」を見ることはできるでしょうか.

なお,BEC819系で関門トンネルを超えることはできないと言われています.それだけ,関門トンネルは特殊な区間です.

愛称をつけるのも良いと思います.ただし過去に存在した「添田線」「田川線」「伊田線」はダメです.個人的には(無理がありますが)「ひがし筑豊線」「平尾台線」を推しておきます.

 

また,今回の廃線提案により,特にJR九州では,特急・貨物列車が存在せず,かつ通勤・観光活用にも寄与しない路線は,今後大規模災害を受けた際には復旧せず容赦無く廃止することが考えられます.以下の路線は特に注意すべきです.

  • 筑肥線 山本〜伊万里
  • 吉都線 都城〜吉松
  • 日南線 南郷〜志布志
  • 指宿枕崎線 山川〜枕崎

また,優先度は低いですが,以下の路線も災害復旧しない可能性が考えられます

  • 筑豊本線 桂川〜原田

2018年の豪雨から復旧しています.折尾駅が高架化するため,貨物列車の代替経路としても優先度が低くなっています.

  • 後藤寺線 新飯塚〜田川後藤寺

上記の路線以外で1両編成の列車が走っています.また,福北ゆたか線を使用して車両を送り込むことができるため,後藤寺線を使用して車両を送り込む必要がありません.

  • 長崎本線 喜々津〜長与〜浦上

車窓で有名であり観光に貢献しますが,非電化です.

  • 唐津線 久保田〜唐津

県都佐賀市と県北部を結ぶ貴重な路線です.303系・305系の納入・整備にも使用されますが,こちらは福岡市交通局の1000系が置き換え時期であり,この際に姪浜車両基地[2]を解体・納入に対応できるよう拡充すれば対応できなくはないです.仮に廃止すると筑肥線が孤立しますが,これはこれで交通網再編のチャンスであります.

出典

http://www.jrkyushu.co.jp/company/other/hitahiko/kaigi05.html

筆者の関連するかもしれない記事

最後までご覧いただき,ありがとうございました.準地元の路線の去就は重要な事項であり,早めに取り上げました.

 

※この記事に限らず,記述内容は筆者の私見であります.

 

[1]:株主としては配当・企業の利益にしか興味がないことが珍しくなく,事業の社会的意義が理解されなくても当然ではあります.

[2]:車両基地の事業はJR九州の関連会社「JR九州エンジニアリング」が行なっています.

 

2020/2/19 追記 SUGOCAの扱いについて:

日田彦山線ではSUGOCAを使用・途中下車することはできませんが,SUGOCAを使用した乗車で通過することができ,運賃は利用可能エリア内で最短距離(福岡近郊区間とは異なり,佐賀・八代・幸崎以北になります.)で計算します.つまり,日田彦山線を通過する計算をすることで,ICカード利用時の運賃が安くなる場合があります(例:新飯塚〜大分).

この場合は,「ICカード利用特定運賃」を導入すれば,日田彦山線の廃止による影響が最小限になります.

ICカード利用時に,日田彦山線廃止転換バスを利用できるようにするのは虫が良いですし(廃止前の「代行バス」はOKです),この特例を理由に日田彦山線を「廃止」するのではなく「休止」するのも間違っている気がします.仮に「休止」の場合,沿線の踏切は,道路交通法上必ず一旦停止して通過しなければなりません.

このようなことがあるので,安易に鉄道を廃線にしてはいけないのです.

また,それとは別に日田彦山線の城野〜添田でもSUGOCAの導入を期待します.こちらは前述の特例措置はなくても良いかもしれません.

 

5/19追記:

福岡県・東峰村が鉄道復旧を断念したとの報道がありました.どうやら,当該区間は正式に廃線されるようです.