映画「ある男」を見てきました。
 

 
前々から言ってますけど「安藤サクラの出てる映画にハズレなし」。
 
古くは「愛のむきだし」「クヒオ大佐」「サイタマノラッパー2」から、カンヌ映画祭パルムドール受賞の「万引き家族」そしてなんと言っても「百円の恋」。名作ぞろい。
 
この映画も名作だったよー!
 
私が映画を見る理由の一つに「他人の人生を疑似体験する」ってのがあります。
一人の人間が体験出来る人生は一回こっきり。
 
どんなに理想的な人生も、悪夢に満ちた人生も、体験できるのは一人一回。
 
「いえいえ、人は何度でも生き返り、輪廻転生を繰り返すのです」って美輪明宏なら言うかもしれないけど、それは一旦置いといて。まー、だいたいお一人様一回限定。
 
だけど映画を見る事によって、自分が歩む事のなかった「もう一つの人生」を疑似体験できるんですよ。こんな贅沢なことある?
 
さて、この映画で疑似体験できる「ある男」の人生は中々にヘビー。この人の人生はキツかったー。だけど疑似体験した事によって、同じような人生を現実に歩んでいる人への想像力が身についたよ。一歩間違えば自分がたどっていたかもしれない重めの人生。だからこそ味わう事の出来た喜び。
 
そんな事を思いながら映画を見てたら「俳優っていう仕事も『他人の人生を疑似体験する』仕事なんだ」って気付きました。
 
ハッピーエンドの映画なら幸せな人生を疑似体験できるけど、バッドエンドならば苦しい人生を疑似体験。「バットマン ダークナイト」でバットマンの敵ジョーカー役を演じたヒース・レジャーの様に、死とも対面しかねない危険と隣り合わせの命がけの仕事。
 
俳優の皆様、心から尊敬いたします。
 
この映画でも、もう一つの人生を味わう事が出来ました。

ラストシーンも切ない。「この人生だけは無くしたくない」。
 
この世界に生きている人全てが、実は別の誰かを演じている俳優なのかも知れない。そんな映画です。