ちょっと聞いてもいいですか?
肖像画って好きですか?

急にすいません立ち入った事聞いちゃって。

ゴヤ展を見に行ったって話を前にしたと思うんですけど、
それ以来、ちょーっと気になる事が出来ちゃって、
お尋ねしてみたって訳なんですよ。

自分自身、昔っから、
どうも肖像画っていうのが好きになれなくて、
何でなんだろって思ってたんだけど。

ゴヤの絵を見て、
「あっ!もしかしてこれが原因だったのか!」
って思った事があったんでお話します。

耳の穴おかっぽじりになりながら、
聞いて下さい。

どーやら、その当時の肖像画っていうのは、
今の記念写真みたいなものだったみたい。

お金持ってるスポンサーが、
「ゴヤくーん、ワシの絵を描いてくれんかね!
カネならたっぷり払うからー!」

てな具合で描くものだから、たぶん

「ちょちょちょちょ、えー?えー?ええええええ?
やだなー、そんなに鼻でかくないでしょー、
もっとよく見て描いてよー!ゴヤちゃーん!」

と後ろから肩をもまれたりしたんだろーなって想像もつく。

スポンサーが満足するような絵を描かなきゃ、
お金はもらえない。

それが理由かどうかは分からないけど、
やっぱ肖像画って、のっぺりした男前なんだよなー。

まー顔さえ男前に描いときゃ満足なんだろって感じで、
着てる服とか、割とあっさりしてるし。

ただ、靴とか装飾品とかは、やけに丁寧。
「ホラ!これこれこれこれ!これ高かったんだよー
ちゃんと描いてよー!ゴヤの字ー!」

そんな、肖像画たちと比べると、
『着衣のマハ』はホントに描きたくて描いてるっていう
エネルギーが圧倒的だった!

ベッドに横たわった女性の服。シーツ。クッション。
全部、色は同じ白なんだけど、それぞれの質感が全く違う。

あの服、絶対シルクだ!
あのスケスケ感!服の上からでも身体のラインがハッキリ分かる!
それだけの熱意を持って描いてるってのが分かる!

着衣のマハっていうだけあって、
着衣に対するこだわりがハンパない。
服フェチだ!着エロだ!ド変態だ!

見た事ないけど、裸のマハより着衣のマハの方がエロいに違いない!

裸のマハっていうのは、
同じポーズで裸になってる絵なんだけど、
これなんか完全にグラビアの企画先取りでしょ。

もう絵を見てたら触りたくなって触りたくなって、
自分を抑えきれない衝動に駆られちゃったよ。

たぶん自分にとってのイイ絵って
触りたくなるかどうかだ!

果たしてあなたは、触りたくなるか、ならないか?

『着衣のマハ』是非見に行って下さい!
って思ってたら、ゴヤ展終わっちゃってた。ゴメン!

こないだフェルメール展も行って来たので、
そちらの話もいずれまた。