絶好の洗濯日和。

洗濯機フル回転の合間を縫って、免許証の再発行に行って来ました。

先月の単独ライブ前に無くした財布。
その中に入ってた免許証。

あの日から数えて、そろそろ一月。

約一ヶ月の間『免許証のない人生』を送って来ましたが、
まー大変だ。

なにしろ財布に入ってたカード類も、ぜーんぶ無くなっちゃった。
健康保険証から銀行のカードからレンタル屋、その他もろもろ。

それらを再発行してもらおうとすると、
必ず聞かれるのが
「身分を証明するものをお持ちですか?」

身分を証明するものね、はいはいはいはい、ありますよ、免許が…、
あーそうだないんだないんだ落としちゃったんだ。

「えーありません」

「身分を証明する物がないとお作りする事は出来ないんですが…」

急に冷たくなる窓口の人。

「申し訳ございませんが…」
言葉は丁寧だけど、妙によそよそしい。

なぜだか「一見さんはお断りしとるんどすえ」って京都弁が聞こえて来るようだ。

「どこの馬の骨とも分からんようなお人を会員にするわけおまへんやろーどすえ!」

免許証がないだけで、こんな屈辱を受けるとは!

しかも再発行だぜ!

前は付き合ってたじゃん、俺たち!

俺だよ俺、覚えてるだろ?もうやり直せねーのかよ、俺たち!


よーし!ならば、ならば、手に入れてやろうじゃねーか!
その免許証とやらを!

どこへ行きゃいいんだ?
ふむふむ免許センターか。OK。

何が必要なんだ?
ん?身分を証明出来るもの?お?住民票かー。

よしよしよし、住民票とくりゃお役所だ。

役所へGO!だ。

こんちわー、えーっと、なになに?この紙に、書きゃいいのか?
よしよし、氏名と住所と生年月日、世帯全部?一部?どっちだ?
よーっしゃ書いたー!

窓口はどこどこどこだ、あったー!

提出!

「身分を証明出来るものありますか?」

「え?」

「運転免許証とか」

いやいやいやいや、その運転免許証を手に入れる為に、
この住民票が必要なわけで、ここでもし「免許証ね、ありますよ」って
取り出してそれを見せて身分を証明出来たとして、その証拠として
住民票を渡されても、その後わたしはそれを持ってドコへ向かえばいいのでしょうか?

「実は免許を落としてしまいまして」

「保健証でもいいんですけど」

「それもこれも引っ括めて全部なくしちゃったんです」

「えーそうなりますと、こちらではお受けする事が出来ないのですが」

「こういう場合どうすればいいんでしょう?」

「何か住所と氏名を証明出来るものがあれば…」

「分かりました、出直して来ます」

いったん仕切り直し。

家に帰って「僕が僕であること」を証明してくれるものを探す。

いやー自分を証明するって、こんなに大変なんだな。
アイデンティティの崩壊寸前だ。

何かねーのか?証明するもの。

あー、あったパスポート。おおお。あれ?期限切れてるな。
一応持ってっとこ。

お?昔の免許証。こりゃどうだ?
新しい免許を手に入れるために古い免許を持参する。
何か理屈としてあってる気がする。これも持って行こう。

でも期限は切れてるなあー。

あああああああったー!あったあった身分証明するもの。

タスポ

うわっ、タバコやめちゃったから全然使ってなかったけど、
有効期限まだまだ先じゃん。これ持って行こ。

その他、通帳やら郵便物やらあれこれカバンに詰め込み、
再びお役所へと向かって行くのだった。


…つづく