#500 本田美奈子.『アメイジング・グレイス』 | 漂流バカボン

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何か適当なテーマを自分で決めて自分で勝手に述べていこうという、そんなブログです。それだけです。

“Amazing grace”は、イギリスの牧師ジョン=ニュートンが作詞し、18世紀に誕生した有名な讃美歌であり、日本語に訳すると「素晴らしき恩寵」という意味になります。

 

おそらくこの曲は、皆どこかで一度は耳にした事があると思いますし、その格調高いメロディーと慈悲深い歌詞は、自分がキリスト教徒でなくても、心打たれるものがあります。

 

♪Amazing grace, how sweet the sound
 That saved a wretch like me
 I once was lost but now I am found
 Was blind, but now I see

 

(素晴らしき恩寵よ、なんて甘美な響きなんだろう。

それは、私のようなどうしようもない者を救ってくれた。

かつては迷ったが、今は見つけられる。

かつては見えなかったのに、今は見える。)

 

 

 

 

 

話は変わって、自分が高校時代の頃、一人のアイドル歌手がデビューしました。

 

1980年前半からのアイドルブームは、松田聖子・中森明菜・小泉今日子あたりから始まり、芸能プロダクション各社は、新たな金脈を次々開発していくが如く、次々と新人アイドルをデビューさせていきました。

 

自分は、そんな流れにやや食傷気味に感じてもいましたが、そんな頃の1985年にデビューを果たしたのが、本田美奈子でした。

 

本田美奈子のことは、自分のブログ「#97 王様と私」の中で書きましたが、アイドル活動からミュージカル女優へ見事な転身を遂げ、そしてその後、クラシックの世界へも足を踏み入れていきました。

 

残念なことに、自分はこの頃の本田美奈子の音楽活動については、これまで何も知りませんでした。2004年頃に、名前の最後にドットを入れる改名をした、というニュースを聞きましたが、自分としては、その当時は気にも留めませんでした。

 

しかし程なくして、本田美奈子.が白血病で療養中というニュースが発表され、自分もさすがに衝撃を受けました。

そして、2005年11月6日、本田美奈子.は、38歳の若さでこの世を去ってしまったのです。

 

本田美奈子がこの世を去る少し前に、1枚のミニアルバムが発売されました。

 

それが、『アメイジング・グレイス』です。

 

このアルバムは、病気療養中の本田美奈子.が、ファンの支援に対しての感謝の気持ちを伝えるために企画し、発売されたものです。

 

ただ、このアルバム発売から、本田美奈子.の逝去までは、約2週間ほど。

その話題性もあり、このアルバムは、クラシックのアルバムとしては異例の売り上げを記録しました。

日本人が歌うクラシック・アルバム史上初の、オリコンTOP 10入りを果たすほどの売り上げでした。

 

 

 

 

自分がこのアルバムを聴いたのは、発売されてからだいぶ経ってからの事でした。

 

このミニアルバムには、表題曲「アメイジング・グレイス」の他にも、「タイスの瞑想曲」「Time To Say Goodbye」「この素晴らしき世界」など、6曲が収録されています。

 

このアルバムで、本当に久々に本田美奈子.の歌声を聴いた時は、やはり驚きました。

 

こんなに伸びやかな歌声、綺麗なソプラノボイス。

 

いつの間に、本田美奈子.は、ここまでの領域に到達していたのか。

 

これは、「1986年のマリリン」の本田美奈子と同一人物による歌声とは、ちょっと信じられないくらいでした。

 

特に、その中の収録曲「アメイジング・グレイス」は、歌声の中に優しさや強さ、喜びや悲しみ、そして慈しみなどのあらゆる情感が込められているようで、聴く者に深い癒しを与えてくれる1曲です。

 

「おいおい、そんな素敵な歌を歌ってたら、神様に好かれちゃって、天国に連れて行かれちゃうぞ。」という、笑えない冗談でも言いたくなるような歌声に思えました。

 

 

 

入院して後の本田美奈子.の闘病生活は、これまでも色々なメディアで語られていますので、ここでは述べません。

 

ただ、この「アメイジング・グレイス」にも、入院中に病棟で録音されたボイスレコーダーバージョンがあり、こちらは全くのアカペラ歌唱ですが、まるで自分が生きていることを確かめるように、一言ずつ噛みしめるように歌っています。

 

もう、本田美奈子.が亡くなって10年以上の月日が経過しましたが、遺された本田美奈子.の歌声は、今でも多くの人々の心を癒し、希望を与え続けています。

 

そして、遺せるものが何もない自分自身は、せめて命ある間は精一杯生きて、自分に課せられている役割を全うできればと、おこがましくも思います。

 

 

 

 

 

 

 

さて、この自分のブログ「漂流バカボン」は、今日で500回を迎えることが出来ました。

 

自分の記憶にあるものを、文章にすることによって固定し、外部化し、ブログに挙げる行為は、いわば、自分の遺書を長々と書いているようなものかもしれません。

 

当初は、人生も後半を迎えた自分の記憶を、外付けHDDに移す行為のような位置づけで始めたブログでした。

 

しかし、ブログを始めてみると、限られた範囲ではありますが、同じくブログをされている何人かの方々に、ブログを通じて交流することが出来ました。

様々なコメントや温かい励ましを頂いたり、ユーモアあふれるやり取りを交わしたりすることが出来ました。

 

この事は、最初はブログ自体どんなものかあまり分かっていなかった自分が、ブログを始めて得た、一番大きな財産です。

 

また、直接的なやりとりはなくても、自分のつたないブログに目を留めて「いいね!」をクリックして頂いた方々にも、いつも励まされています。

 

 

 

・・・何だか、ブログを終わる挨拶のような文章になってしまいましたね。

いえいえ、まだ終わろうとは思っていません。

ちょっと中締めのようなものです。

 

 

実は、これまでは1日に1テーマというペースを基本に、時々休みとしていましたが、そうすると、思い入れの強いテーマなどをつい端折ったりとか、後回しにしてしまう事が多くなり、この500回を機に、もう少しゆったりと考えながら、一つ一つのテーマを取り上げていきたいと思うようになりました。

 

そこで、年内は今日この500回目で最後とし、来年からは、もう少しゆったりとしたペースに切り替えて、ブログを更新していこうと思っています。

 

とは言っても、これからは重いテーマばかりというわけでは勿論なく、小ネタもこれまで同様に書いていきますし、特に何が変わるわけでもないと思いますが・・・

 

 

 

では、皆様、良いお年をお迎えください。

 

Merry Christmas & A Happy New Year !