◇自治は、とても大切です

・社会福祉法人
・一般社団法人
・任意団体
・株式会社

世の中には、
自治が認められている組織が、
たくさんあります。


私は、
自治そのものは、
とても大切なものだと思っています。

自分たちで考え、
自分たちで決め、
自分たちで責任を負う。

自由主義経済においても、
社会のさまざまな組織においても、
自治は重要な原則です。

ただ最近、私は、

👉「自治にも限界があるのではないか」

と感じることが増えてきました。



◇内部けん制は、本当に機能するのか

特に、社会福祉を担う法人です。
 

社会福祉法人は、
行政の監督を受けます。

一方で、
日常の法人運営については、
基本的には、
法人自身の自治に委ねられています。


その適正性を担保するために、
理事会があり、
評議員会があり、
監事があります。

つまり、

👉内部けん制によって、不正や暴走を防ぐ

という仕組みです。

制度としては、
よくできています。

しかし、
実際にそれが機能するかどうかは、
また別の問題です。

内部けん制が働かない場合、

行政の監督が及びにくい。

 

という現場を何度も目撃しました。



◇「おかしい」と言える人が必要です

これは社会福祉法人に限りません。

どんな組織でも、
長く一緒に活動していると、
 

・人間関係ができます
・空気ができます
・上下関係もできます

その中で、

👉「それは違うのではないですか」
👉「このやり方はおかしいと思います」


と発言することは、
簡単ではありません。

特に日本では、
組織の空気に逆らって、
批判的な意見を述べることを、
ためらう人も少なくないように感じます。

だから、制度上は、

 

監事がいても、
評議員会があっても、
理事会があっても、

👉十分なけん制が効かないことがある

・横領
・不正会計
・虐待
・隠蔽

こうしたニュースが、
繰り返し出てくる背景には、
この問題もあるのではないかと思います。



◇では、どうすればいいのか

では、
自治をやめればいいのか。

私は、
そうは思いません。

自治は、
できる限り尊重すべきです。

ただし、
その前提として、

👉「透明性」を高めること

が必要なのではないかと思います。

その透明性の一つが、

👉会計です。

決算書や計算書類が、
信頼性をどう担保するのか。
 

ここが非常に重要です。

計算書類そのものに、
高い信頼性があれば、
それだけで組織に対する、
大きなけん制になります。

「どうせ分からない」
「内部だけで処理してしまえばいい」

という余地を、
小さくすることができるからです。



◇株式会社には「会計参与」という制度があります

そこで、私は、
株式会社にある

👉「会計参与」

という制度に、非常に注目しています。

会計参与は、
会社法上の機関です。

取締役と共同して、
計算書類などを作成します。

しかも、
誰でもなれるわけではありません。

公認会計士や監査法人、
税理士や税理士法人など、
一定の会計専門家に限られています。

つまり、

経営者だけで決算書を作るのではなく、
”責任を負う”専門家が役員として、
その作成に関与するわけです。




◇なぜ、計算書類の信頼性が高まるのか

私は、
ここが重要だと思っています。

会計参与には、

👉責任

 

があります。

会社法429条1項では、
役員等が、その職務を行うについて、
悪意または重大な過失があった場合、
第三者に生じた損害を賠償する責任を負うことがあります。

会計参与も、この「役員等」に含まれます。

つまり、単に、

「専門家が見ました」

というだけではありません。

👉専門家自身が法的責任を負う可能性がある

だからこそ、

計算書類の信頼性を、

保証する仕組みとして、
意味があるのだと思います。

責任のない確認と、
責任を負う立場での確認では、
重みが違います。



◇「保証業務」の担い手になれる理由

税理士や公認会計士が、
計算書類の信頼性を高める役割を果たすためには、
専門知識だけでは足りません。

・独立性
・責任

そして、

何か問題があった場合には、
自分自身も責任を問われる可能性がある。

そうした構造があるからこそ、
第三者から見て、

👉「この決算書は、一定の信頼性がある」

と評価されるのだと思います。

私は、これが、
会計参与制度の大きな意味だと考えています。



◇社会福祉法人にも、元々外部チェックの仕組みはあります

もちろん、社会福祉法人にも、
まったく外部チェックがないわけではありません。

監事制度があります。
行政による指導監査もあります。

一定規模以上の社会福祉法人には、
会計監査人が置かれる仕組みもあります。


ですから、
現在の制度を、
すべて否定するつもりはありません。

ただ私は、特に、

👉公費を大量に投入して運営される事業

については、もう一段、
日常的・継続的な会計上の信頼性を、

高める仕組みがあってもよいのではないか、
と思っています。



◇公費で運営するなら、より高い透明性を

たとえば、

👉障害福祉サービス

など、
多くの公費によって支えられている事業です。

その運営主体が、
社会福祉法人であっても、
一般社団法人であっても、
株式会社であっても、

公費を使っている以上、
高い透明性が求められるのは当然だと思います。

そこで私は、
こう考えています。

👉公費を主な財源として福祉サービスを提供する法人には、

会計参与に類似する専門家を設置を義務付けてはどうか。



◇自治を守るために、透明性が必要なのです

私は、
自治を否定しているのではありません。

むしろ逆です。

👉自治を守るためにこそ、透明性が必要だ

と思っています。

外から細かく口を出される前に、
自分たちで、信頼できる仕組みを作る。
決算書の信頼性を高める。
専門家の目を入れる。

そして、

「誰が見ても説明できる運営」

にしておく。

そうすれば、
自治はもっと強くなるはずです。

自由と、責任。
自治と、透明性。

この二つは、
対立するものではなく、
セットなのだと思います。

特に、

公費で運営される福祉サービスでは、

👉「自治だから自由」ではなく、「自治だからこそ説明できる」

という仕組みが、
これからますます重要になるのではないでしょうか。