先日、障害福祉サービス事業を営む

当法人の関与先である

社会福祉法人の理事会に出席してきました。

私自身が、

この法人の巡回監査を担当しており、

毎月、自ら事業所へお伺いしています。

すべての証憑書類を確認し、

会計帳簿を確認する。

そして計算書類の正確性を担保する。

税理士としては当たり前の仕事ですが、

実はそれだけではありません。



◇月次決算を共有する

毎月の巡回監査が終わると、

確定したばかりの事業所別の月次決算について、

各事業所の管理者の皆さんに集まっていただき、

説明をしています。


数字を見ていただき、
 

・今どのような状況なのか。
・どの事業所がどういう状態なのか。

共通理解を持っていただくことを大切にしています。

長く続けている取り組みですが、

管理者の皆さんも、

徐々に数字に強くなってきています。
 



◇利用者本位でなければならない

障害福祉サービス事業所の収入の中心は、

障害福祉サービス等報酬です。

利用者の利用状況に応じて、

行政から”給付費”が支払われます。

ここで重要になるのが、

👉平均利用者数や利用率です。

しかし、

障害のある利用者は様々な事情で、

毎日通所できるとは限りません。

・週1日の方もいます。
・週3日の方もいます。
・他の事業所を併用されている方もいます。

全ての利用者さんを合わせた

日々の「利用率」を把握し、

上げていくことが大切です。

 

その為には、

それぞれの利用者さんの通所日を

パズルのように組み合わせることに

なろうかと思います。

その場合、注意しなければならないのは、
本来、障害福祉サービスは、
施設の都合ではなく、
利用者とご家族を中心に、

組み立てなければならないということです。

 

やみくもに「定員」を

満たせばよいというものではないのです。




◇数字が分からないと起きること

私は以前、

長男の生活介護の受入先を探している時、

地元のある社会福祉法人から、

「うちは週5日通える方しか受け入れません」

と言われたことがあります。

今振り返ると

単純計算での「利用者数×週5日」に拘り、

利用率100%を目指そうとするもので、

施設の都合ばかり考えていて、

全く利用者本位とは言えない対応です。


もちろん経営は大切です。

しかし、

数字が見えていないと、
”何となく”の不安から、
このような対応をしてしまうことがあります。

逆に、

数字がきちんと見えていると、

「このくらいの平均利用率であれば事業は成り立つ」

ということが分かります。

すると、
利用者本位の柔軟な受入れも、

自信を持ってすることができ、

不安を感じなくなるのです。



◇数字を大切にするから挑戦できる

今年度、

この社会福祉法人は

新しい施設を開設しました。

新しい施設を作るということは、

法人にとって、大きな挑戦です。
 

・建物や設備への投資

・そのための借入
・職員の採用
・利用者の募集

当然ながら、

開設当初は利用者数も十分ではありません。

数字だけを見ると、

一時的に、

業績が悪く見えることもあります。

しかし、この法人は

日頃から数字を大切にしています。

毎月の月次決算を確認し、

各管理者が、

事業所ごとの現状を正確に把握し、

各々が、
将来を見据えた経営判断を行っています。


だからこそ、
私は理事会で、

👉「全く心配のない状況です」

と説明することができました。


数字が見えているからこそ、
どこまで挑戦できるのかが分かるのです。

私は様々な法人を見てきましたが、


👉数字を見ない組織ほど挑戦を恐れます。
 

現状が分からないからです。

一方で、

数字を正しく把握している組織は、
挑戦する勇気を持つことができます。
数字が未来への地図になるからです。



◇管理者の皆さんとのアイコンタクト

私が理事会で説明をしていると、
横で聞いていた管理者の皆さんが、

「わかっています!」ウインク

という表情で頷いてくださいました。
そのアイコンタクトがとても印象的でした。
 

数字を共有しているからこそ、
共通言語が生まれている。
経営者だけが分かっているのではなく、
現場の管理者も理解している。
これは本当に素晴らしいことだと思います。



◇会計は障害者の未来を作る

私は税理士ですので、
日々、数字を見ながら経営をすることの

大切さを説いています。

特に、
障害福祉サービスの世界では、
数字は、

利用者本位の支援を実現するための

道具となり得ます。

数字を正しく把握することで、
無理な受入制限をしなくて済む。
 

数字を共有することで、
利用者中心の運営ができる。

そして、

数字を大切にすることで、
新しい施設を作る挑戦ができる。
利用者の選択肢を増やすことができる。

会計は、

一つの社会福祉法人の経営のためだけではなく
地域の障害者の未来を作るためにも

存在しているのです。

ですから、社会福祉法人には、

「適時に正確に会計帳簿を作成する」

ことが義務付けられているのです。

改めてそのことを実感した理事会でした。