強度行動障害の状態にある方が

一度は言われたことがある言葉

 

「一度、入院して治療してきてください。」

本当に、そうなのでしょうか。

 

 

結論から言えば、

 

👉 間違いです。




◇ 私たちが受けた突然の一言

息子が卒業後、最初に通った小規模作業所でのことです。

入所後、しばらくすると

「B型」を目指すというので、自称”福祉のプロ”が、

入ってきました。

 

当時息子は、虐待も受けていませんし、

物を壊すという行動障害がたまに起きる程度でした。

 

しかし、
ある日突然、その方から、

👉 「明日から受け入れられません」

と連絡がありました。

さらに続けて、

👉 「入院して行動障害を治療してきてください」

と、

いかにも専門家っぽい口調で、

冷たく言い放たれたのです。

「明日から」という点については、
もちろん、猛抗議をした末、

謝罪はありました。

しかし、

「入院して治療を」という言葉には、

途方に暮れました。

 

しかし、今なら反論できます。
その考えは、明確に誤りだからです。



◇ なぜこの誤解が生まれるのか

私たちは、

👉 「医療=万能」

という感覚を、どこかで持っていませんか?

・ 入院すれば治る
・ 医者に任せれば何とかなる

・ 効く薬がある

 

・・・と。

 


しかし、現在の、
強度行動障害の支援においては、

👉 薬物療法は“補助的”なもの

 

というのが一般的な常識です。

 

薬にしても、

 

行動障害に直接的に効くという

明確なエビデンスを持つ

薬物は存在しません。

強度行動障害の状態を軽減するために
主となるのは、

👉 環境調整
👉 行動療法

といった、

👉 非薬物療法

なのです。

つまり、
👉入院をして治すものではないのです。



◇ 入院の本来の役割

では

強度行動障害の状態の方の

入院は何のためにあるのか。

目的は、主に2つです。

① 身体的な疾患の治療
② 一時的なレスパイト(Respite)※

 

※介護や育児で日々のケアを担う人が

一時的にその業務から離れ、

休息・リフレッシュするための支援サービス

を言います。

つまり、


👉 行動障害そのものを改善する手段ではない

これが現在の常識です。



◇ 支援は「連携」でしか成立しない

強度行動障害の支援は、

👉 単独では成立しません

・ 本人
・ 家族
・ 福祉
・ 教育
・ 行政

 

そして、医療

これらが、
多職種・多期間で連携して初めて

成立するものです。

医療もその一部ではありますが、

👉 “絶対的な解決手段”ではない

のです。



◇ なぜ「入院」の言葉が使われるのか

残念ながら、
未だに、「入院してください」
という言葉が、

利用者が自主的に辞めてもらうために

福祉施設側が使う方便

として使われることがあります。

これは、
福祉施設側も、利用者側も
非常に危険な誤解です。

何故なら、

行動障害のある方が

支援の枠組みから排除されることを

意味するからです。

 

 

厚労省が昨年、

精神科病院での入院について

 

強度行動障害の(状態にある)人など

治療効果の見込めない人を将来的には対象外とする

 

という考えを示しましたが

これは、未だにこのような誤解が浸透しているから

だと思います。




◇ 一般の方の感覚

YouTubeなどで、一般の方が、
強度行動障害の状態にある方の様子を見ると、

👉 「これは入院する以外方法がない」

と感じる方も多いと思います。

 

Xやヤフコメなどでも、

そのような書き込みをみます。

しかしそれは、

👉 現実ではなく実在しない“イメージ”

に過ぎません。

是非、このブログを参考にしていただきたい

切に思います。



◇ 強度行動障害の支援の枠組みは?

強度行動障害の支援は、

医療単独では完結しません
本人の生活全体の中で支えるものです。

すなわち、

・ 本人
・ 家族
・ 福祉
・ 教育
・ 行政

 

・そして地域社会
の理解と協力がなければ、
決して解決しないのです。

(参考資料)

「多職種チームで行う

強度行動所外のある人への医療的アプローチ」

独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター:監修

會田千重:編集