「ストローマン(藁人形)戦略」という

交渉の手法があります。

相手の問いかけに対して、
意図的かどうかは別として、

👉 話の受け取り方をずらし
👉 ”ずれた”論点で返すことで
👉 対話そのものを成立させない

あるいは、

👉 けむに巻いて、うやむやにしてしまう

そういう構造です。



◇ 対話が噛み合わない理由

これは決して珍しいことではありません。

むしろ、

行政対応
福祉現場
クレーム対応

こういった現場では、頻繁に起きています。


なぜなら、

👉 正面から答えると”責任”が発生する

からです。

そのため、

👉 “別の話”にすり替える

これが起きるのです。



◇ 現場で起きたこと

私自身、

強く印象に残っている出来事があります。

強度行動障害の状態にある息子の支援について、
ある福祉施設と

話し合いの場を持ったときのことです。


施設側は、

「行動障害が酷くて困っている」
と言っていました。


そこで私は、

「強度行動障害支援者研修」のテキストを持参し

👉 スケジュールの見通しをつけること
👉 今日何をするかを明確にすること

特に自閉スペクトラム症の特性がある場合、

👉 見通しの不透明さが不安を生み
👉 行動障害につながる

このような基本的な支援の話をしました。

 


「このように支援しませんか?」と。



◇相手の反応はこうでした 

 

しかし、

相手は、不機嫌そうな顔をして、

返ってきた言葉は
こういうものでした。

「あなたの息子さんが

施設の設備や備品を壊していることを

どう思っているのですか?」

「申し訳ないと思うなら、

まず謝罪ではないんですか?」

「そのような姿勢の親御さんとは、

信頼関係が築けないので

支援の協力はできません」


私は、家族も施設も、

強度行動障害の状態にある障害者を支援する

協力者、仲間、同志だと思っていたので

「まさかの論理」に、非常に驚きました。



◇ 何が起きているのか

これはまさに、

👉 ストローマン構造に近い論法

です。

 

「燻製ニシンの虚偽(レッド・ヘリング)」※

にも近いです。

※「全く別の強い関心事(謝罪や責任)を持ち出して、

議論の追及から逃れる」手法


私は、
「支援方法」の話をしている
にもかかわらず、
「責任」や「謝罪」の話にすり替えられている

つまり、

👉 論点を完全にずらされている

のです。



◇ 意図的かどうかは問題ではない

この施設が
意図的に「ストローマン戦略」を

使っているかどうかは
問題ではありません。


しかし結果として、

👉 対話が成立していない

これがすべてです。

そして実際に、

その後のやり取りも、

かなりの長期間、
ほぼ全てこの構造でした。



◇ “話の分かる人”がいると弱点になる

ここで、もう一つ重要な構造があります。

ストローマン戦略を使う側に、
いわゆる「話の分かる人」が居ると、

そこが弱点になってしまいます。

なぜか。

「話の分かる人」は、

 ・「今の話は支援方法の話ではないですよね」
 ・「論点がすり替わっていますよね」

と指摘すると、正論なので逃げられなくなる。

こうやって、

👉 藁人形ではなく“本物の論点”に戻されてしまう

のです。

本来の論点に戻されると、
正面から答えるしかなくなる


これは、同時に
「責任と説明」

を伴うということです。

 

だから、

このような福祉施設や、

話にならない役所などは、

「話が分かる人」を現場には

連れてこないのです。



本当に厄介ですね・・・



◇ だから起きる次の行動

これらの組織が
論点を戻されると
次にとる行動は・・・

👉 連絡を遅らせ、時間稼ぎ

です。

 論点ずらしができない
 ↓
時間で逃げる

そして、

うやむやになるまで時を待つ。


これは典型的な流れですが

非常に厄介です。



◇ 対抗策はあるのか

では、どうするか。
まずは相手側に

「話が分かる人」がいるかどうか、

探ります。

 

その為に、

👉 論点を固定すること
👉 逃げ道をふさぐこと

私は、

・市役所の前で
・詳細な文書を作成し
・論点を明確にした上で要請する

という形を取りました。

文書は、主語や述語を省略すると、

その部分で論点をずらしてきますので、

文書は物凄く長くなります。

このように結局のところ、

👉 詳細な論理
👉 そして粘り

これしかありません。



◇ 本質

対話が壊れるのは、
意見が違うからではありません。
 

相手が、意図的に

「ストローマン戦略」を使っている場合もある。

また、意図的ではなくとも、

「ストローマン戦略」が根付いている組織もある。

 

そのことを知ることも

大切なことだと思います。