障害のある子どもを施設に預けていると、
ふと、こんな気持ちになることはありませんか。

「ここで強く言ったら、
 “じゃあ利用はやめてください”
 と言われるんじゃないか…」

「子どもを人質に取られているみたいで、
 本当はおかしいと思っても、
 何も言えない…」

これは、
あなただけの感覚ではありません。

全国の障害者家族が、
同じ不安を抱えています。

 

 

このドキュメントでも「人質にとられている」と仰る

お母さまの場面があります。

 



◇それは、親が弱いからではありません

はっきり言います。

この不安は、
親が弱いからでも、神経質だからでもありません。

そう感じてしまう
「構造」があるのです。

支援が止まったらどうなるのか。
次の行き先がなかったらどうなるのか。
子どもの生活は、命は、どうなるのか。

だから多くの家族は、
• 理不尽だと思っても
• おかしいと思っても
• 声を飲み込みます

その結果、

施設側の多くも、

自分たちの都合で、

いつでも契約解除できるのではないか?

と勘違いしてしまう。

 

かくして、
「施設が強く、家族が弱い」
という関係ができてしまう。

でも――
それは、法律が想定している姿ではありません。



◇実は、施設には「応諾義務」があります

障害者総合支援法では、
福祉サービス事業者に
いわゆる 「応諾義務」 が課されています。

簡単に言うと、こうです。

▶ 正当な理由がなければ、利用を断れない
▶ 文句を言ったから、という理由で契約は切れない
▶ 一方的に「出て行って」はできない

これは法律上の義務です。

 

「正当な理由」とは、簡単に言うと、

 

①定員オーバーの場合

②提供地域が異なること

③障害種別が異なること

④身体疾患などで入院治療が必要なこと

 

とされています。

 

 

これは、私が「応諾義務」について語った、オンラインセミナーの動画です。

詳しくは、この動画をご覧いただければと思います。

 



◇「限界です」「他を探してください」と言われたら?

現場では、こんな言葉が使われることがあります。

「そんなに不満があるなら、他を探してください」
「うちも限界なんです」
「これ以上は難しいですね」
「他の利用者に迷惑だから」

「行動障害は対応できない」

 

いかにも、もっともらしく、
こう言われると、
多くの家族は一気に萎縮します。

「やっぱり、強く言わない方がいい」
「子どもを守るために、我慢しよう」

と、反応しがちですが・・・

でも、ここで知ってほしいことがあります。

 

これらの理由は、

「正当な理由」ではありません。

 

したがって、これら理由で、

施設側から、サービスを停止することはできません。

 


たとえ正当な理由があったとしても――

▶ いきなり契約終了はできません
▶行政や相談支援と連携して、 次の受け皿を探す努力が必要です
▶ 支援を「放り出す」ことは許されません


これが、「応諾義務」です。



◇「人質」ではありません。それは”命綱”を預かる関係です。

支援は、
「人質を取る関係」ではありません。

正確には、
命綱を預かる関係です。

例えば、登山で考えてみてください。

”命綱”を握っている人が、
• 気に入らないから
• 文句を言われたから

• もう無理だから


そんな理由で
手を放していいはずがありません。

放すなら、
• 次の安全な支点を確保し
• 落ちないように
• 責任を持ってつなぎ替える

それが、「応諾義務」です。

 

障害福祉サービス事業者は、

登山において”命綱”を握っている、

登山のプロフェッショナルです。

一方的に、その”命綱”を放すことは、

決して許されないのです。

 

障害福祉サービス事業者に、

なぜこのような、強い責任が求められるのか、

 

それは、

国民が支払う税金で運営されている事業だからです。

事業者は、そこを忘れてはならないと思います。





◇最後に、いちばん大事なこと

 

「子どもが人質に取られている」のではありません。

 

親が、制度を知らされていなかっただけ。

 

知った瞬間、

力関係は変わります。

 

 

 

声を上げることは、

わがままでも、対立でもありません。

 

それは、

法律が想定している

正当で、守られた行為です。

 

是非、お住まいの市役所の障害福祉課に、

「応諾義務が守られていないです」と

苦情を申し立てて下さい。

 

自らの権利を主張することは、

他の多くの方の権利を守ることにつながります。