アルメニアンダンス パートⅡ
第1楽章「風よ吹け」

この曲は、私が心から大好きな一曲です。

 

 

吹奏楽を続けてきた中で、
何度演奏しても、
何度聴いても、
そのたびにジーンとして、胸を打たれる音楽です。



■アルフレッド・リードという作曲家

この作品を作曲した
アルフレッド・リード 博士は、

ユダヤ系アメリカ移民をルーツに持つ、
アメリカの作曲家・指揮者です。

日本では、
「吹奏楽の神様」
と呼ばれる存在でもあります。

私自身、
20代の頃から参加している「音の輪コンサート」で、
何度も博士の指揮のもとで演奏するという、
本当に幸運な経験に恵まれました。

その中でも、
代表作である「アルメニアンダンス」は、
何度も演奏してきた曲です。



■なかでも心を離れない「風よ吹け」

アルメニアンダンスの中でも、
特に心を強く揺さぶられる一つが、

パートⅡ・第1楽章
「風よ吹け」 です。

この楽章は、
アルメニアの民謡をもとに作られています。

原題は Hov Arek
アルメニア語で、

「風よ、吹け」
という意味です。

 

 

英語題では
The Peasant’s Plea(農民の嘆願)
とされています。

つまりこの曲は、

自然の脅威である「風」に向かって、
名もなき農民が、
生きるために訴え、祈る姿を描いた音楽
なのです。



■風に向かって訴えるということ


静寂の中から聴こえてくる、

哀愁を帯びたイングリッシュホルンの旋律。

それは、一度聴いたら忘れられない、切実な響きを持っています。
 

この曲は、
決して勇ましい勝利の音楽ではありません。

風を打ち負かすわけでも、
問題が綺麗に解決するわけでもない。

それでも、
風に向かって訴える。

それは、

「日々を幸せに生きたい」
「今日を生き延びたい」
という、
とても根源的な祈りなのだと思います。



■私たち自身の姿と重なって

思うようにいかない社会の中で、
私たちもまた、

抵抗し、
訴え、
時に耐えながら、
生きているはずです。

声をあげられないことも多い。

報われないことも多い。

それでも根底にあるのは、
やはり、

「幸せになりたい」
という、静かな願いではないでしょうか。



■音楽が語る、人の祈り

「風よ吹け」は、
その人々の想いを、

叫びではなく、
誇張でもなく、
音楽として、誠実に表現している
曲だと思います。

だからこそ、
何度演奏しても、
何度聴いても、
胸に迫ってくる。

吹奏楽という枠を超えて、
人間の生を語っている音楽だと感じます。



ぜひ、聴いてみてください

もし機会がありましたら、
ぜひ一度、

アルメニアンダンス パートⅡ
第1楽章「風よ吹け」

を、じっくり聴いてみてください。

そこには、
英雄ではなく、
一人の名もなき農民の声があります。

そしてきっと、
私たち自身の姿も、
どこかに重なって聴こえてくるはずです。