TKCの創業者である飯塚毅初代会長が、

よく引用されていたドイツの法学者イェーリングの著書、

『権利のための闘争』の中に、こんな一節があります。



「法の目的は平和である。
しかし、その獲得の手段は闘争である。」

この言葉を、私は社会福祉の現場で日々痛感しています。



例えば、障害福祉サービスには「応諾義務」という大切なルールがあります。
これは、指定障害者福祉サービス事業者が、
利用者からの申し込みに対し、正当な理由がなければサービスを拒否してはいけないというものです。

しかし、この「正当な理由」が正しく理解されていないケースが多いのです💦

法律(障害者総合支援法)では、正当な理由は4つ。

① 人員が不足している(定員オーバー)
② 障害種別が異なる
③ 提供地域が異なる
④ 入院治療など医療支援が必要

それ以外の理由――たとえば「面接をして施設側が障害者を選定する」とか、

「行動障害があるから受け入れられない」「専門能力が無いから受け入れられない」といったものは、原則として違法行為です。





ところが、現実にはこのルールが守られていない現場も少なくありません。
日本の障害者法制は、国連の障害者権利条約の批准に合わせて整備され、

既に非常に進んだ内容になっています。



それでも、「法律の理念」と「現実の運用」の間には、

まだまだ大きな溝があるのです。





ですから、応諾義務違反をする事業所には、
「苦情解決の申立て」を行うことが求められます。
これは“対立”ではなく、“適切な権利の行使”です。

日本では「権利を主張する」ことをためらいがちです。
特に障害のあるお子さんを持つ親御さんは、
「自分さえ我慢すれば…」と考えてしまうことも多い。

でも、それではいつまでも現状は変わりません。



イェーリングは、こうも述べています。


「法律を遵守させようとする勇気をもつ少数の人々の運命は苦難に満ちたものとなる。(中略)
そうした状態をもたらした責任は、法律に違反した人々ではなく、
法律を守らせようとする勇気を持たない人々にある。
不法が権利を駆逐した場合、告発されるべきは不法ではなく、
これを許した権利の方である。」

まさに、今の社会に通じる言葉だと思います。



私たちは、言うべきことはしっかりと言う勇気を持たなければなりません。
それが相手の立場に関係なく、
指定障害福祉サービス事業所であっても、行政であっても、警察であってもです。

障害者権利条約が形になるまでには、
多くの先人たちの血のにじむような努力がありました。

その魂を引き継ぐ私たちは、
一人ひとりが権利を主張し、
法律を現実に生かす取り組みをしていかなければなりません。



法の目的は平和です。
しかし、その平和を実現するためには、
時に勇気をもって立ち上がることが必要です。

人の尊厳を守るために声を上げ続ける――
その小さな勇気の積み重ねが、
きっとこの社会を少しずつ良くしていくのだと思います。

共に、歩み続けましょう🌿