相続登記義務化と戸籍取得の簡易化について
ご無沙汰しております。
青木です。
本年4月1日より、不動産の相続登記が義務化されます。
これまでも、不動産登記法上は、権利の変動があれば速やかに登記すべきとされていましたが
利用価値のない山林を中心に相続登記がなされないことがあり
そういった山林について開発行為・防災のための工事等を行う際に
現在の所有者の特定に時間を要する事態が頻出するようになったため
今般の改正に至ったとされています。
相続登記を行うには、登記名義人から現在の相続人に至る一連の流れを戸籍上明らかにする必要があります。
仮に法定相続分どおりの登記を行うにしても
相続人の氏名・住所が判明しなければ
誰が何分の一を相続しているのか正確に登記を行えないからです。
戸籍は本籍地さえ明らかになれば、相続関係調査の目的に必要な範囲で
第三者の戸籍を取寄せることが可能です。
ところが、これまでは戸籍謄本
(コンピュータ化された後は全部事項証明書)
の発行は本籍地の市町村役場でしか発行できないものとされていました。
確かに、かつての紙媒体の時代には、当該戸籍はその役場にしか無いため、
この扱いはやむを得ないものでした。
しかし、現在は、戸籍システムはコンピュータ化されており
かつ、オンライン化もされています
(マイナンバーカードがあれば事前の登録は必要なもののコンビニ等で戸籍の取り寄せが可能であることも
このようなオンライン化の表れと言えます)
このような流れを反省して、過日、
相続関係の戸籍の取り寄せについては、相続人ご本人が最寄りの市役所に出向けば
遠方の地の戸籍であっても発行可能となりました。
(弁護士の職務上請求は対象外です)
そのため、これから相続登記を行う場合には
最寄りの市区町村役場に出向き、自分(親)の戸籍を取得
→祖父母の戸籍を取得……
という流れを繰り返していけば
理論上一日で戸籍の取り寄せが可能となります
(戸籍には、その人がどこの戸籍から今の戸籍に入ってきたかが記載されているため
先祖の戸籍を遡ること、兄弟姉妹の分岐から降りてくることのどちらも対応可能です)
そこで取寄せることができた戸籍を元に
今度は法務局に出向き相続情報証明書発行に向けた手続を行うと
爾後の手続も簡易になるものと予測されます。
この機会に、特に田舎の山林・田畑等
手つかずの不動産の登記手続が必要か否か、点検して頂ければと思います。