顧客工場での作業改善事例を紹介しよう.
コンベアに4人が並んで組立作業をしている.
コンベアは,通常タクトタイムを決定する役目がある.
しかし2人目と3人目は,コンベアから取り上げた部品をまとめて作業台で一括作業し次の工程に渡している.
ここにムダがある.
取り置きのムダ:
コンベアからワークを取り作業台の上に並べる.作業が完了したワークをコンベアに戻す.この作業は付加価値を生んでいない.
手待ちのムダ:
前工程からコンベアで流れてくるワークが一定数量になるまでまで待って作業をする.この待っている時間は自工程だけではなく,次工程でも手待ちとなる.
一定数量まとめたワークに一括作業をしている間にも,前工程からは次々とワークが流れてくる.これが次行程に流れてしまわないように作業をしながら取り置をすることになる.
その結果作業台には,作業完了ワークと未完了ワークが混在することになる.
ここに「工程飛ばし」の潜在リスクがある.
未作業ワークが次行程に流出しても,すぐに分かるので品質問題にはならない.
と言う考え方はだめだ.前工程に戻す,作業のやり直しというムダが発生する.
まず1個ずつ作業をするように指導する.
これで各作業者のサイクルタイムが明確に見えるようになる.
作業者には,右手,左手を同時に動かし組み立てをする手順を教える.
作業に最適な部品の置き方に変える.
各工程のサイクルタイムを短縮し,タクトタイム内に収まるよう各作業を組合せる.
今回の事例では,いきなり2人目と3人目の作業を一人作業とした.
3人目の作業者を抜いて,2人目の作業者に作業方法を教える.
新しい作業方法を練習する時間も含めて,たった30分で3人で同じ数量を組み立てできるようになった.
30分で25%の生産性改善だ.
ここまで現場のリーダに教えたのは,
「一個ずつ作業する」「両手を同時に動かす」の二つだけだ.
作業台の大きさ・置き方,部品の置き方を改善すれば,更に5%は改善可能だ.
この後この現場リーダは自分で,生産性を10%改善.更にもう一人少人化している.
しかし注意しなければならないのは,速く作れるようになって必要量以上に生産しても無意味だと言うことだ.
タクトタイムが間に合うのであれば,スピードや生産量のアップではなく,効率のアップを優先しなければならない.
例えば3人で300個/時間の速度で生産できるよりも,2人で200個/時間で生産出来る方が効率は良い.一見すると一人当たり100個/時間だから同じように見える.しかし少人数で生産できるようになっているので,フレキシビリティが上がっている.
第二回中国華南モノ造り交流会では,もっと多くの改善事例を紹介します.