事務所ニュース2024年5月 | 金森勝税理士事務所

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ゴールデンウィークいかがお過ごしですか?
いつも事務所ニュースをお読みいただきありがとうございます。
5月号の「知って得しま専科」は、中小企業優遇税制の税制改正項目のポイント総チェックと題して、令和6年3月決算向けの特別企画として解説いたします。
また、「5分で学べる税務知識」では、新紙幣に伴う券売機等の改修費について解説します。
「コーヒーブレイク」では近年増加傾向にある退職代行サービスについて解説します。
今後もお役に立てそうなコラムをお届けしてまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
頑張ろうぜぃ〜(税) ♪

知って得しま専科! 中小企業優遇税制

今月号は中小企業優遇税制の税制改正項目のポイント総チェックと題して、令和6年3月決算向けの特別企画として解説いたします。
決算が近い企業の方はもちろん、これから決算を迎える企業の方も参考になると思うのでぜひ確認をしてみてください。

 

1 中小企業投資促進税制 (機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)
(1) 制度の概要
青色申告書を提出する中小企業者等(資本金1億円以下の法人等)が、新品の「特定機械装置等」を取得等して、製造業、建設業、農業、林業などの指定事業の用に供した場合、取得価額の30%を特別償却できる。
特定中小企業者等(資本金3,000万円以下の法人等)では、上記の特別償却又は取得価額の7%の税額控除(法人税額の20%が限度)を選択適用できる。

 

(2) 適用対象資産
適用対象資産である特定機械装置等は、具体的には下表の設備が該当する。
 

【中小企業投資促進税制の対象設備】

設備 取得価額等要件
機械装置 1台又は1基の取得価額が160万円以上のもの
測定工具・検査工具 1台又は1基の取得価額が120万円以上のもの(1台又は1基の取得価額が30万円以上で事業年度の取得価額の合計額が120万円以上のものを含む)
一定のソフトウェア 一のソフトウェアの取得価額が70万円以上のもの 
(事業年度の取得価額の合計額が70万円以上のものを含む
*複写して販売するための原本、開発研究用のもの、サーバー用OSのうち一定のものなどは除く
普通貨物自動車 車両総重量3.5トン以上
内航船舶 すべて (取得価額の75%が対象)
*総トン数500トン以上の船舶は、環境への負荷の低減に資する設備の設置状況等を国土交通大臣に届け出た船舶に限る

 

(3) 改正点
令和5年度改正により、対象資産から、下表の要件のいずれにも該当する機械装置が除外された
下表のロの「要する人件費が少額な一定のサービス業」からは、「中小企業者等の主要な事業」が除かれており、「主要な事業」の用に供する資産は対象資産から除外されない。
この「主要な事業」としては、「継続的に中小企業者等の経営資源(事業の用に供される不動産、事業に関する従業者の有する技能又は知識(租税に関するものを除く)その他これらに準ずるもの)を活用して行い、又は行うことが見込まれる事業」、「中小企業者等が行う主要な事業に付随して行う事業」が該当する
例えば、「中小企業者等がその所有する店舗、事務所等の一画を活用して、いわゆるコインランドリーを利用させる役務を提供する行為」、「公衆浴場を営む中小企業者等がその利用客に対して、いわゆるコインランドリーを利用させる役務を提供する行為」が「主要な事業」に該当することになる。
そのほか、対象資産の船舶について、総トン数500トン以上の船舶は、環境への負荷の低減に資する設備の設置状況等を国土交通大臣に届け出たものに限定された。

 

【中小企業投資促進税制の対象から除外された機械装置】(イとロに該当する機械装置)

その管理のおおむね全部を他の者に委託するものであること
「要する人件費が少額な一定のサービス業」  の用に供するものであること
*「要する人件費が少額な一定のサービス業」とは、洗濯機、乾燥機その他の洗濯に必要な設備(共同洗濯設備として病院、寄宿舎その他の施設内に設置されているものを除く)を設け、これを公衆に利用させる事業、いわゆるコインランドリー事業のこと

(4) 改正点の適用時期
上記の改正は、中小企業者等が令和5年4月1日以後に取得又は製作をする特定機械装置等について適用する。
中小企業者等が同日前に取得又は製作をした特定機械装置等については、従前どおり。

 

2 中小企業経営強化税制 (特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)
(1) 制度の概要
中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けた青色申告書を提出する中小企業者等(資本金1億円以下の法人等)が、新品の「特定経営力向上設備等」を取得等し、製造業、建設業、農業、林業などの指定事業の用に供した場合に、特別償却又は税額控除(法人税額の20%が限度)を選択適用できる。

 

【中小企業経営強化税制の適用要件等】

適用法人 中小企業者等
適用要件 経営力向上計画の認定を受けること
・特定経営力向上設備等(生産性向上設備(A類型)、収益力強化設備(B類型)、デジタル化設備(C類型)、経営資源集約化設備(D類型))を取得等すること
適用対象資産 生産等設備を構成する機械及び装置、工具、器具及び備品、建物附属設備並びにソフトウェアで、一定規模以上のもの(特定経営力向上設備等)
特別償却 取得価額×100%(即時償却)
税額控除 取得価額×7%(資本金3,000万円以下の特定中小企業者等は10%) 
*法人税額の20%が限度

 

(2) 適用対象資産
適用対象資産である特定経営力向上設備等は、下表の4類型に区分される。

 

【中小企業経営強化税制の対象資産】

類型 生産性向上設備
(A類型)
収益力強化設備
(B類型)
デジタル化設備
(C類型)
経営資源集約化設備
(D類型)
要件 生産効率等が旧モデル比年平均1%以上向上する設備 投資利益率が年平均5%以上の投資計画に係る設備 事業プロセスの遠隔操作・可視化・自動制御化、のいずれかを可能にする設備 修正ROA又は有形固定資産回転率が一定割合以上の投資計画に係る設備
対象設備 機械装置(160万円以上※1)工具(30万円以上※2)器具備品(30万円以上※3)建物附属設備(60万円以上※4)ソフトウェア(70万円以上※5)
確認者 工業会等 経済産業局
1~5は、A類型において販売開始時期の要件がある。
※1は10年以内、※2は5年以内、※3は6年以内、※4は14年以内、※5は5年以内。
対象設備の金額は1台又は1基等当たりの取得価額。

 

(3) 改正点
中小企業等経営強化法施行規則が改正されたことで、対象資産から、コインランドリー業又は暗号資産マイニング業(主要な事業であるものを除く)の用に供する設備等で、その管理のおおむね全部を他の者に委託するものが除外された
このコインランドリー業とは、洗濯機、乾燥機その他の洗濯に必要な設備(共同洗濯設備として病院、寄宿舎その他の施設内に設置されているものを除く)を設け、これを公衆に利用させる事業のこと。
対象資産から除外される資産が仮に経営力向上計画に記載されていたとしても、その資産は対象にならない。

 

(4) 改正点の適用時期
上記の改正は、中小企業等経営強化法に規定する特定事業者等が令和5年4月1日以後に受ける認定(変更の認定を含む)のうち、同日以後に申請がされるものに係る経営力向上計画に記載された経営力向上設備等について適用する
特定事業者等が、同日前に受けた認定及び同日以後に受ける認定のうち同日前に申請がされたものに係る経営力向上計画に記載された経営力向上設備等については、従前どおり。

 

3 少額減価償却資産の損金算入特例 ★適用法人が多い
(1) 制度の概要
中小企業者等が、取得価額30万円未満の少額減価償却資産を取得等し、事業の用に供した場合に、損金経理を要件に、その全額を損金算入できる(上限年300万円)。貸付け(主要な事業として行われる貸付けを除く)の用に供した資産は対象にならない。

 

(2) 適用対象法人
この特例の適用対象は、青色申告法人で資本金1億円以下の中小企業者のうち、常時使用する従業員の数が500人以下の法人(中小企業者等)に限られる。
中小企業者等に該当するかどうかの判定は原則、少額減価償却資産の取得等をした日及び事業の用に供した日の現況による。
ただし、事業年度終了の日において、常時使用する従業員の数が500人以下の法人が、その事業年度の中小企業者に該当する期間に取得等し事業の用に供した少額減価償却資産は、この特例の適用を受けることができる

 

(3) 留意点
令和4年4月1日以後の取得等について、適用対象資産である30万円未満の少額減価償却資産から、貸付け(主要な事業として行われる貸付けを除く)の用に供した資産が除外されている。
「主要な事業として行われる貸付け」については、類型に応じた該当例が下表のとおり整理される。

 

【主要な事業として行われる貸付けの例示】

① 当該内国法人が当該内国法人との間に特定関係(一の者が法人の事業の経営に参加し、事業を実質的に支配し、又は株式若しくは出資を有する場合における当該一の者と法人との間の関係(「当事者間の関係」)、一の者との間に当事者間の関係がある法人相互の関係その他これらに準ずる関係をいう)がある法人の事業の管理及び運営を行う場合における当該法人に対する資産の貸付け (例示) 企業グループ内の各法人の営む事業の管理運営を行っている法人が当該各法人で事業の用に供する減価償却資産の調達を一括して行い、当該企業グループ内の他の法人に対してその調達した減価償却資産を貸し付ける行為
② 当該内国法人に対して資産の譲渡又は役務の提供を行う者の当該資産の譲渡又は役務の提供の事業の用に専ら供する資産の貸付け (例示) 法人が自己の下請業者に対して、当該下請業者の専ら当該法人のためにする製品の加工等の用に供される減価償却資産を貸し付ける行為
③ 継続的に当該内国法人の経営資源(事業の用に供される設備(その貸付けの用に供する資産を除く)、事業に関する従業者の有する技能又は知識(租税に関するものを除く)その他これらに準ずるものをいう)を活用して行い、又は行うことが見込まれる事業としての資産の貸付け (例示) 小売業を営む法人がその小売店の駐車場の遊休スペースを活用して自転車その他の減価償却資産を貸し付ける行為
④ 当該内国法人が行う主要な事業に付随して行う資産の貸付け (例示) 不動産貸付業を営む法人がその貸し付ける建物の賃借人に対して、家具、電気機器その他の減価償却資産を貸し付ける行為

5分で学べる税務知識 ・・・  新紙幣に伴う券売機等の改修費

今月は新紙幣発行に伴うシステム修正費用の取り扱いについて解説をします。

 

新紙幣発行に伴う影響
令和6年7月3日より新しい紙幣が発行される。
一万円札は渋沢栄一、五千円札は津田梅子、千円札は北里柴三郎のデザインとなる。
これは偽造防止のため、日本では20年周期で新しい新札に変更される。
昨今ニュース等では、ラーメン屋等の飲食業界やパチンコ業界なども新紙幣に伴う機器入れ替えで悲鳴をあげていることが話題となっているが、新札が発券されれば従来の機器は使用できなくなってしまうため、レジや券売機等のシステム改修等の費用が発生する。
新札対応に伴う機器入れ替えはその内容によって、「修繕費」又は「資本的支出」として処理する。
固定資産の通常の維持管理や、原状を回復するための費用は修繕費として、一度に損金算入できる。
一方、固定資産の価値を高め、又は耐久性を増すための費用は原則、資本的支出に該当し、資産として減価償却する。
国税庁は、新たな制度の実施に伴い固定資産に生じる費用の取扱いに関して次の情報を公表している。
「消費税のインボイス制度の実施に伴うシステム修正費用の取扱いについて」、「消費税の軽減税率制度の実施に伴うシステム修正費用の取扱いについて」、「消費税法改正に伴う会計ソフト修正費用の取扱いについて」。
各情報では、新制度の実施に伴い、システム等の機能を維持するための修正であることが作業指図書等で明確である場合は、修繕費に該当する旨を示している。
新たな機能の追加、向上等に当たる部分の費用は資本的支出となる。

新紙幣に対応するための券売機等の改修費用等も、上記の情報と同様の考え方になる。
券売機等の機能を新たに追加、向上等させるものではなく、単に新紙幣の利用に対応するためのものは、券売機等の機能を維持する費用として、修繕費に該当することになろう。
資本的支出に該当するものでも、その費用が20万円未満の場合や、資本的支出か修繕費かが明らかでない金額が60万円未満又は固定資産の前期末の取得価額のおおむね10%相当額以下であれば、修繕費として処理できる

コーヒブレイク ・・・「退職代行」の利用急増

新年度がスタートして1ヶ月。
本人に代わって退職の意向を企業側に伝える退職代行サービスを行う会社には早くも新入社員からの依頼が相次いでいるという。
「入社前と話がちがう」。多くが労働環境への不満だというが、少子高齢化社会が進み、これから人材獲得競争が激化する中、企業にとって時間やコストをかけて採用した社員の突然の退職は避けたいところ。
こうしたミスマッチをどう防げばよいのか。
今月号のコーヒーブレイクは近年利用が急増している「退職代行」について解説していきます。

 

退職代行とは?
会社を退職する場合、就業者本人から上司に対しその意思を伝えるものであるが、近年は退職代行業者に依頼を行い、退職代行業者が企業側に退職の意思を伝え交渉するサービスのことです。
退職届を郵送することや、貸与物の返却の手順などを確認し、退職する段取りをつけてくれるが、中には、20分ほどで終わるケースもあるようです。
こうした退職代行サービスの需要は令和3年以降年々増しており、利用者の6割は若年層が占めているらしいが、中には70代の利用者も実績があるようで若年層だけのサービスではないものになっています。

 

退職理由は?
退職代行は有給消化の申請も含め、すべての退職手続きを代行するため、利用者は上司らとのやりとりが一切生じません
勤め先は有名な大手企業も少なくありませんが、直属の上司がオーナーや社長というケースが多い中小企業の割合が高いようです。
その理由は若年層以外の場合は「退職を認めなかったり、先延ばしにされたりする」ケースや「退職届を破られた」といった、いわゆるブラック企業やパワハラの悩みを抱えるケースが多いようです。
一方、新入社員も4月の前半の早い段階に退職代行サービスを利用するケースが年々増加傾向のようです。
新入社員の場合は人間関係や給料面など多岐にわたるが、ほとんどが労働環境についてのようです。
たとえば「業務開始の30分前に出社したのに、1時間前の出勤を要求された」や、「入社前に提示された給与と入社後に示された金額が異なっている」といったことだそうです。
実際、ニュースで取り沙汰されている静岡市の食品メーカー「いなば食品」では今春、社宅の老朽化が原因で一般職採用の16人が入社を辞退したことを明らかになっており、入社前に提示された労働条件との相違もあったと報道されております。
1カ月にもならないうちに早期退職してしまう新社会人は、企業側にとって大きな痛手です。
新卒の採用活動で企業側は会社説明会や書類選考、面接を行い、時間やコスト面の負担は小さくありません。

 

ミスマッチを防ぐには?
学生と企業側とのミスマッチは双方の工夫による改善が必要です。
入社までに社内の雰囲気や文化が理解できないことが早期退職の一因となっていることから、企業側は職場環境や労務状況の内情を学生側に包み隠さず伝えることが求められます。
また、入社後も社員と積極的にコミュニケーションを図り、相手のいうことを否定せず距離を詰めていくことが必要と言えるでしょう。

企業としてはコンプライアンスを守りつつ、お互いに相手の気持ちを尊重するような社風にしたいものですね。

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金森先生が共著で出版した本(出版社:ぎょうせい)
「税目別誤りやすい税務への対応Q&A(第2版) 」法人税の対応を担当しました。

 

韓国での金森先生