映画【私の男】浅野忠信×二階堂ふみ | ∠かなめまよの胸はって行け〜!自信持って行け〜!

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ちょっと早いけどおはようございます。今日紹介する映画は好き嫌いが大きく分かれる【私の男】です。

R15作品で近親相姦を扱った物語なので苦手な方はここでスルーして下さい😭
なるべく綺麗で柔らかい表現に変えてみます。
【私の男】はもともとは桜庭一樹先生による日本の小説でした。第138回直木賞を受賞しています。
映画の予告編は、


【私の男】は熊切和嘉監督によって映画化され、2014年に公開されました。
映画の登場人物達の紹介です。(紹介文はあくまで小説での人物描写なので映画と多少違うところはあります。)
❄腐野淳悟/くさりのじゅんご【浅野忠信】
花の養父。痩身で背が高く美形であるため、常に女の影がある。気分屋だが愛嬌があり、黙っていても周りから好かれる性質であるが、心から他人と打ち解けることはない。紋別では海上保安官主計士だったが、東京へ出てからはバイク便ライダーの仕事に就いている。花が短大卒業後に就職したことを機に仕事を辞め、無職となる。ヘビースモーカー。
❄腐野花/くさりの はな【二階堂ふみ】
淳悟の養子。苗字は「竹中」だったが、9歳のときに震災で家族を亡くし、淳悟に引き取られたことによって「腐野」になった。
短大を卒業後派遣社員になり、派遣先の社員である美郎と婚約する。仕事は真面目にこなすが淳悟同様、時間にはルーズである。
【映画で婚約したのは三浦貴大くん演じる役名も大輔とだけ記された最後のシーンに登場するのみでした。】
大塩/おおしお【藤竜也】
北のほうで地元民に慕われていた老人で、「親父さん」と呼ばれている。昔は飲食店をいくつも経営していたが、北海道柘植銀行の破綻による景気悪化の影響で全て手放す。
隠居後は趣味として銀色の小さなカメラでの写真撮影に明け暮れている。世話焼きの性格で、花を孫の彰(仲野太賀)の嫁にしたいと思っていた。
❄尾崎 美郎/おざき よしろう【高良健吾】
小説では花の婚約者。勤務する会社の親会社の専務の息子。複数の女性と関係を持っている。
裕福な家庭で育ち、女性から値踏みをされることにも慣れていたが、自身の境遇に対し哀れむような態度を見せた花に興味を持つ。
映画化ではストーリーの時系列が原作のようには遡らない形になっているほか、花の殺人の証拠品が違うものであったり、婚約者が別の男性(三浦貴大)になり、結末も異なるなど若干の違いがあるので小説を事前に読まれていた方はちょっと違和感があったんじゃないかと思います。
【私の男】のあらすじです
【起】

北海道南西沖地震直後に奥尻島を襲った津波によって花は両親と2人のきょうだいを失いました。幼い花は孤児になります。

避難所は生き残った人たちが集まっていました。ペットボトルの水を分け与えられた花は眠れず、あてどなく歩き回ります。

避難所の裏の体育館には、遺体収容施設があり、両親たちの遺体もそこにありました。死をまだ理解できない花は母の死体を足で蹴ってみます。

ふと何かに引き寄せられるように、花はひとりの男の背に近づきました。背は振り向きます。

それは遠い親戚・腐野淳悟(浅野忠信)でした。惇悟は「俺の子だ」と言って、花を引き取ります。【花の母親と不倫して出来た子供だったんですね。】災害救助のボランティアに来ていた大塩(藤竜也)は花に「生き残ったあんたはすごい」と言いました。

車中、父に負われて津波から逃げる記憶が夢に出てきて泣きじゃくる花に対して、淳悟は「俺はお前のもんだ」と言いました。

数年後。中学生になった花(二階堂ふみ)をいつも気にかけてくれるのは、地元の名士で遠縁でもある大塩老人です。

淳悟は海上保安官で、1度海に出ると10日ほど家を空けます。大塩はそんな腐野家を案じ、よく花の様子を見に来ていました。

大塩の孫・小町(河井青葉)は惇悟と交際しています。

海から戻った後、札幌に行ってきたという惇悟とホテルで密会した小町は惇悟のコートをゴソゴソ漁りプレゼント用にラッピングされた小箱を見つけました。中にはピアスが入っていました。

明らかに自分向けではないピアスの箱だったので嫉妬から帰り道に小町は捨てました。小町は惇悟との結婚を周囲に急かされていますが惇悟にその素振りはありません。

親戚の寄り合いでも話題にされますが、花を連れて来る惇悟は花の前でしか笑顔を見せませんでした。

花と惇悟が互いの指を舐めているのを見て小町は生理的嫌悪を覚えます。

海辺で同級生らと遊んでいた花が、小町を見つけてやってきました。制服を着た花は中学生らしい無邪気を持っています。

しかし花は惇悟から誕生日プレゼントとして貰ったピアスを舐めており「まだ早いって。でも買ってくれた」と小町に勝ち誇った様に言いました。

【承】

プレゼントは確かに小町が捨てたのに「あいつまた買ったんだ」と小町はつい口に出してしまいます。

花は小町に「あの人(惇悟)ね、淋しくてじっと我慢してるの。家族っていう心が欲しいんだよ」「他人じゃ駄目なの、分かる?」と小町に言いました。

惇悟と花の濃密な関係に異様なものを感じ、花の惇悟への執着に不気味な恐怖を見た小町は惇悟と別れて東京に出ました。

惇悟と花は肉体関係にありました。

冬の初め、紋別に流氷が来たというテレビニュースが流れます。3年前に流氷に流された観光客の話題にも触れていました。

海から帰ってきたばかりなのに、また出かける惇悟に対して拗ねた花は、朝一番にカーテンを開いたまま交わります。

その現場を何かと気にして花の様子を見にくる大塩老人が目撃しました。

その日の帰り道、花は大塩老人と会います。一瞬身構えた花ですが、屈託なく話しかけると大塩老人の方も何事もなかったかのように気さくに応じてくれました。

しかし、大塩老人に伸ばした手は、さりげなく振り払われます。

さらに大塩老人は「旭川まで行ってきた」と言いだしました。会話の先が読めて、花は海の方へ逃げます。

停泊している港の漁船を抜け沖の流氷近くまで大塩老人は花を追いかけてきました。

旭川に父方のいとこがいるから、高校を出るまでそこに身を寄せろと告げる大塩老人に花は反発します。

大塩老人は花に事実を告げようとしました。惇悟は花の実の父親なのです。

花はとっくの昔に気づいていました。気づいていながら関係を持っていたんです。

大塩老人と花は揉み合いになり花は大塩老人を突き飛ばします。

「(近親相姦を)神様が許さない」と言う大塩に「私が許す!」と返した花は、「何したって、あれ(惇悟)はあたしの全部だ!」と絶叫しました。

大塩老人の乗った流氷は流れていき、大塩は花に助けを求めます。「泳げばいい。あんときのあたしみたいに」と花は言い花自身も乗った流氷から海にダイブして、凍えながら家に帰りました。

【転】

花はその後ひとりで寝込みます。捜索隊が駆り出され大塩老人は後日流氷の上で凍った遺体となって発見されました。

花は地震に遭った時に惇悟に引き取られ、戸籍上は義理の娘となっています。

惇悟が高校生の時カッとして母の首を絞めたことがあり半年間だけ奥尻の親戚に預けられたことがありました。惇悟はその時、花の母が大好きで肉体関係になりできた子どもが花でした。

実の父というのは本当の事なんです。

海から戻ってきた惇悟が、大塩老人の死を告げました。「それ、私がやったの」と告げた花は平気な顔をして惇悟を台所で誘います。

惇悟は、花の眼鏡がなくなっていることに気づきました。大塩老人と揉み合いになった時に落としたのです。

大塩老人の葬儀に参列した2人は東京に出て派手に変わってしまった小町を見つけました。

惇悟と花はその後逃げるように紋別を去り東京へ出ます。惇悟はタクシー運転手になりました。

花を高校に通わせながら働く惇悟の元に、ある日、元刑事・田岡(モロ師岡)が現れました。刑事だった頃に比べ、崩れた服装をしています。

田岡は花の眼鏡を証拠品として見せました。花が大塩老人の死に関わったことを知る田岡に惇悟は殴りかかり熱いシチューをかけた後包丁で首を刺して殺します。

帰宅した花は、台所にうずくまったままの惇悟と田岡の死体を見て、すべてを理解しました。

花と惇悟は互いの殺人の共犯となります。

それ以来、惇悟は抜け殻のような状態になりました。毎日無気力で暮らしています。

高校を卒業した花は大手企業の受付嬢の派遣社員となって働き始めました。

親会社の専務の息子・尾崎(高良健吾)が花に接近しました。どこかミステリアスな雰囲気を持つ花に尾崎は惹かれていきます。

花も尾崎に自分の家の事情を話した後「自由って飽きるんですね」「きっと見ていたものが違うんです」と謎めいた言葉を呟きました。

【結】

花をタクシーで家まで送った尾崎は、父・惇悟が外で花のマフラーを巻いて立っているのに気づきます。

惇悟は花の肩を抱くと優しく家に連れ帰り尾崎にも「始発までうちへ来いよ」と声をかけました。

家の中で惇悟は花を布団まで連れていきコンタクトレンズを取ってやります。その様子を見た尾崎は明らかに居心地の悪さを感じました。

その後、惇悟は尾崎に「あんたさ、裸になれないか? 上半身だけでいいんだよ」と言います。初対面の相手に、突拍子もないことを言われたので尾崎は戸惑います。

しかし惇悟に薄気味悪さを感じた尾崎は、素直に上着を脱いで上半身のみ裸になりました。

惇悟は尾崎の胸に口を寄せさらに手の指を舐めます。薄気味悪さより怖さで怯えた尾崎は逃げるように台所で手を洗いました。

「おめえには花は無理だよ」と惇悟は告げ、尾崎は逃げる様に帰ります。尾崎が去った後惇悟は「俺は親父になりたいんだよ」と呟きました。

花は惇悟の元を去ります。

…3年後。

花は大輔(三浦貴大)という男と結婚を決めました。結婚式の前夜、父・惇悟を呼び出した花は高級レストランで3年ぶりの再会を果たします。

背広にサンダル姿で登場した惇悟は、花の結婚相手・大輔にも「お前には無理だよ」と言い放ちます。

テーブルクロスの下で花は靴を脱いだ足で惇悟の足の甲を撫で回します。

2人だけになったテーブル席で惇悟と花は見つめ合い、花は口だけで「おめでとうは?」と言いました。

惇悟と花の関係は結婚してもずっと続きそうな気配でした。

【私の男】もあらすじを見てちょっと躊躇したんですが何せ沢山の賞を受賞している映画です。嫌なら途中でリタイアすりゃ良いって思い視聴。覚悟を決めていたからかな。そこまで近親相姦描写は気にならなかった。それよりも花に真っ当な生き方を教えてやる藤竜也さんを流氷に放り出し死に至らしめても平気な花の頭ん中がサイコパスで怖くて仕方ありませんでした。
1番心に残ったのはやっぱり可哀想すぎる藤竜也さんだなぁ。
惇悟は愛人の子とは言え、花の実の父ではあります。ただ彼も愛されずに大きくなったからか【家族】の築き方が理解できなかったんでしょうね。

そのため肉体関係という形で血の絆を確認していたんです。

一方の花も惇悟との血の繋がりを肉体関係に求めました。

初めは惇悟主導であったろう2人の生活は途中から逆転して花主導で動くようになっていきます。

「俺は親父になりたいんだよ」という言葉は本音なんでしょうが、軌道修正の方法が惇悟には分からない。

花と距離と時間を置いてみたものの、再会するとやはり離れるのは無理だと分かってしまう。

ラストは【絶望】かな。

浅野忠信さんと二階堂ふみさんの演技力が凄いから実際にこんな親子がいたら病院にそれぞれ入院しなきゃ。って真剣に心配してしまいます。

何らかの障害はあるかもって思いました。

そうは言っても強かな花はなんだかんだ強く生きていくと思いますが。

ラストシーン、足で父親を弄ぶ娘と、娘しかもう愛せない哀れな父親の形が凄く不気味に表現されていました。

【映画にやたら出てくる赤い色】

演出で色んな赤の使い方が興味深いと感じました。

親子で抱き合うシーンで天井から血の雨が降るのが印象的なんですが(あくまでイメージとしての演出)赤い色の使い方で2人の関係の変化が表現されている気がします。

体を重ねた2人が同じように血の赤に染まっていく。

北海道のシーンで赤いものを身につけているのは花。

最初は制服の下のジャージが赤くて高校生の時は赤いマフラーを巻いていました。

花が上京し淳吾が自堕落な生活を送るようになってからのシーンになると淳吾は花が高校生のころに身につけていた赤いマフラーを巻いています。

一方、大人になった花は赤いものはもう身に付けなくなる。

もう花には親子の恋愛関係が終わっているのに対して淳吾がどうしようもなくて彼だけ時が止まっている。

花の結婚を告げるレストランへ向かう淳吾は赤い傘をさしている。

花と離れ離れになり時が経ってしまっていてもまだ淳吾は花への思いを抱えているんです。

花は他の男性との結婚を告げるが、テーブルの下では淳吾を誘惑するように

ヒールを脱いだ足を伸ばし意味ありげに擦る。

このレストランが全体的に赤いんだ。

淳吾は差して来た赤い傘を入り口でやや乱暴に捨てている。

やっと幻影でない花に会える。

花は「結婚する」のにテーブルの下で伸びる足。周りに散りばめられた赤。

絶望的に花の呪縛から逃れられない。

永遠に花が淳吾を支配していくよな、これ。

たまにこう言った異色の映画を観てしまいます。次は明るめなドラマにしなきゃね。またね( *˙︶˙*)ノ"