司法書士の山口です。

すっかり秋めいてきて、
暑いの苦手な自分としては嬉しいなと。

 

緊急事態も今回は解けそうな感じですかね?



今日は「破産者マップ」について。

破産者マップって知ってますか?


破産者の住所や名前をグーグルマップで紐づけて
表示していたサイトです。


破産の称号がついた自分の名前と住所が
ネット上に露出されてしまう代物。。


とんでもないことを考えるやつがいるもんだ…
と当時は思ってました(゚Д゚;)
 

 


 

こんな感じのやつみたいです。

 

 

破産や個人再生を行った場合には、
官報で、氏名や住所が載せられる。


今や、
官報はインターネットでも見られる時代なので、
その情報を元に作られたサイトってことですな。



そして、官報の情報をさらに強力化して、
どこに破産した人がいるか、

マップ上で表示させてしまうというわけです…。


もちろんこんなものは、即行でつぶされました。

そりゃそう…
個人情報もモラルも公益性もない。
そもそも、存在意味もない。


2018年の12月ぐらいにできて、
2019年の3月には完全閉鎖。


個人情報に問題があるのはもちろんですが、
閉鎖に至った原因の一つが、
「破産者マップ詐欺」の発生。


このマップを見た悪い輩が、
マップ上の破産者に、
削除要請に金品の要求をしていたみたいです。


個人情報保護委員会からの行政指導、
弁護士による被害対策弁護団の設置など、
事件化してしまったのです。

それでサイト閉鎖ってわけです。


ただですね、
この破産者マップの余波は、

その後も終わらなかったんですよ…


破産者マップが閉鎖されてから数か月後、
今度は「モンスターマップ」
というものが登場…。

これも、破産者マップ同様に、

破産者の官報データを載せたもの。


さらに、別動隊でもう1つ、
「自己破産・特別清算・再生データベース」
なるサイトも登場してしまいました。。

これは、ヤフーマップと破産者の氏名・住所を
連動させるもの。

そして、削除要請には応じるものの、
数万円分の仮想通貨を要求されていたみたい。

ようは、

破産者から金品を奪い取る目的の強いサイトだったんです。


もちろん、
ホームページの名前変えりゃいいってわけはないので、
2020年7月に個人情報保護委員会が行政指導。

刑事告発も予定され、
翌8月には2サイトとも閉鎖。

こんなかたちで、
破産者マップの余波は続いてましたが、
2021年9月24日に、
破産者マップの2名の被害者が、
損害賠償請求を提訴した模様。


運営者は、請求棄却を求めてるようです。


こうしたネット上の問題は非常に難しい。

このモンスターマップやデータベースに関しては、
破産者マップのように簡単につぶされないよう、
サーバー事業者を海外に設定。


こうすることで、逃げ道が作られていたわけです。
アダルトサイトとかと同じやり方ですね。


刑事告発などの強硬策を発動したことで、
閉鎖に追い込めましたが、
またいつこうしたサイトが現われるか?
という問題は残ったまま。


官報は
「昔は一般人で見てる人なんてほとんどいないから」
と言われてましたが、今は違う。

こうしたプチ恐喝の手段として、
利用しようとしている人達がいるってのも事実。

闇金業者もチェックしてるとは言いますしね。


破産も含め、
債務整理は家族に秘密の方が実に多い。

こういった人の傷口に塩を塗るようなことは、
絶対にやめて欲しいですね。


ちなみに、ご心配の方も多いと思うので、
念のため、述べておくと、

・破産・再生
→官報に掲載・裁判所への申立てによる

・任意整理
→官報掲載はなし・裁判所も含め公的機関への届出もなし

なので、
任意整理した事実が破産者マップで知られていた、

ということは120%ありませんので、ご安心を。
 

以上です。