司法書士・行政書士の山口です。
「ずっと滞納していたところから督促の通知が来ました…」
こういったご相談はよくあります。
「お支払いのお願い」や「督促通知」や「法的手続予告通知」などのタイトルで書類が来ます。
個々の方によって状況は様々です。
・長年払っていなくて忘れたころに督促がきた
・親が亡くなって親の借金について督促がきた
・電話で督促の連絡はあったけど無視していた
私が経験した例。
「30年前に払わなかった借金の請求が来た」
「引越しをした直後にいきなり請求がきた」
こんなものもあります。
こうした未払いの借金って、貸主側からすれば不良債権。
不良債権は売れたり、譲渡できるので、違う会社から請求がくるようになるのです。
引越し直後に新住所がバレるというのも、住民票などをとれば一発です。
前の住所の住民票に、移動したとこ載ってますから。
さて、こうした未払い・滞納した借金は意外と多いのですが、その解決方法の一つが、「時効」制度。
カード会社から借りたお金は、未払いになった日から5年で時効になります。
時効になると、借金は0になるので、支払い義務はなくなります。
もちろん、元金だけでなく、利息や遅延損害金も全て免除。
ただし、5年経つ前に、裁判所に訴えられてしまうと時効は中断します。
中断すると、5年の進行は一度リセットされます。
また、5年の間に1円でも支払いをしてしまうと時効は中断してしまいます。
消費者金融が自宅に取り立てに来る。
「1000円でいいから支払ってくれ!」と言われて1000円を払ってしまったケースなどもありましたね…
最近では、一部の支払いをさせて時効中断。
それから、貸金業者が訴訟提起することも多いそうです。
この点については、こんな判決もあります。
・東京簡裁 平成25年6月25日判決
「被告が専門家に相談するまで待ってほしいと依頼したのに対して、原告はその暇を与えず、時効制度を知らない被告に対して、
債務の一部弁済を迫って時効援用を阻止しようとした」と認定。
信義則上、借主が消滅時効を援用しないであろうという信頼が、貸金業者に生じたとは言えないとし、時効の援用を認める。
※最高裁判所昭和41年4月20日判決で、債務者が債権者に対してもはや時効を援用しないであろうという信頼関係が生じた場合には、信義則により債務者は時効援用権を喪失するというもの。
一般の方がよく勘違いされているケース。
それは、時効は期間が経過すれば勝手に成立すると思われているケースです。
時効は「援用」といって、時効を主張する意思を見せないと認められません。
ただ、時効期間が経っただけでは、当然のように時効は成立しませんから注意です。
ちなみに、時効期間は、どんな債権債務かによって変わります。
・カード会社などの民間の会社から借りたお金は5年で時効
・個人間でのお金の貸し借りは、10年で時効
・国税に関するものは5年で時効
時効が成立する年数はばらばら。
中には、1年などの短期消滅時効などもあります。
最後に、「時効が援用できない場合はどうなるの?」という点。
この場合は2択ですね…。
①払っていく
②滞納を続ける
①の場合
払うにしても、損害金や利息はとんでもない額になってます…。
分かりやすい目安で言うと、消費者金融で借りたお金は、5年で大体2倍になります。
50万円借りて、5年の滞納だと100万ぐらい。
10年の滞納で150万円の請求になります。
これを自力で返済するのは難しい。
だから、任意整理で、利息や損害金をある程度カットする交渉を行います。
ケースによっては、元金のみにできますが、正直どこから借りているかによりますね…。
最近では、損害金のカットが難しい会社もあります。
こうした利息や遅延損害金の金額が大きすぎる。
相手先も、減額しない(まともな交渉に応じない)
こうした場合には、自己破産で最終解決を図るといった具合です。
②の場合
相手先が厳しい条件を出すなら、滞納を続けるのもありかもしれません。
ただし、住所や勤務先を知られると、訴えられる場合はあることを覚悟すること。
また、既に訴えられて裁判も終わっている場合。
この場合は、いつでも差押えを入れられます。
職場がバレると給料に差押え。
銀行口座がバレると、口座差押え。
この可能性があることは、覚悟しておきましょう。
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