「そういえば、来奈さんはどんなの力を使うんだ?来奈さんだけ単独で力を使ってなかったよな?」
陽菜がたずねた
「、、。」
3人は無言で陽菜を見つめる
空気が一気に重くなったように感じた
「あっいや、聞いちゃまずかった?
ごめんなさい」
陽菜は頭をかく
「来奈は元々、コトダマの力が生まれつき弱い病気を持ってるの。父親からの遺伝よ。
だから単独では技を使えないし、来奈自身もそれをコンプレックスに感じているの。
それでも来奈の父親は「そのままの来奈でいい」といい続けたそうよ。
だけど来奈はそれを鵜呑みにして、何も努力をしなかった。
父親は何年も努力を続けて単独でも力を使えるようになったことを母親から聞いて知ったの。
お父さんの言う「そのままの来奈でいい」は劣等感を抱かずに努力を続けろという意味だったと最近悟ったのよ」
花梨は陽菜と優に耳打ちする
「だけど2年も覚醒してないのに、努力しても無駄なんじゃないか。自分みたいな落ちこぼれが努力しても無駄だと考えているから、なかなか先に進めないのよ」
花梨は目を細めた
「劣等感が彼を縛っているの」
花梨は眉を吊り下げる
「i believe in you」
佳穂が来奈に目を細めて笑う
「ーっ、俺にはできない。父親の言葉の真意にも気が付かず、ずっと自分の病気を言い訳にして何もしてこなかった‥
今更変わることなんてできないんだ。」
来奈は目をぎゅっと閉じる
「来奈さんいってくれた。
大切なのは信じることって。」
優は来奈を見た
「あたい達は来奈さんを信じてる。だから来奈さんも自分を信じて。」
陽菜は来奈の胸に拳を当てる
「何度だって自分に言い聞かせてあげるんだ
i believe in you(私はあなたを信じてるよ)
って」
陽菜はクシャッと笑う
「そんなの借り物の言葉でしかない。
自分の言葉じゃないのに言い聞かせたって、、」
来奈はそっぽを向く
「はじめは借り物でもいいじゃん、使い続けるうちに自分の経験とかが加わって深みが増して自分の言葉になる。
言葉ってその言葉に見合う自分になりたいって思わせるためのものでもある気がするんだ」
陽菜はまっすぐ来奈を見つめた
(お母さんがいつも『人は傷ついた分だけ優しく強くなれる』っていつも言い聞かせてくれたように)
「i believe in you i believe in you i believe in you」
来奈は何度も何度も、その言葉を噛みしめるように唱えた
来奈の目から涙がこぼれた
「i believe in me 私は私を信じています」
来奈はそう力強く言う
(墨はもう病気を言い訳にして逃げたりしない。僕だって力を覚醒させて見せる)
来奈は眉を吊り下げた