ニュージーランドは、アルコール依存症の率が非常に高い国です。
https://ourworldindata.org/alcohol-consumption
様々な依存症だけでなく、うつ病などのメンタルヘルスの問題、虐待、肥満、糖尿病、心臓病の発生率も高く、すべてはバラバラでなく、つながった問題だと思います。
ある記事のコメントには、「ロシアやフィンランドなど、暗くて寒い国では鬱屈がたまるのも分かる。でも地理的に、ニュージーランドは気候を言い訳にすることはできない。一体この国を覆うこの暗さはどうしたことか」と書かれています。
パブやレストランだけでなく、パーティーやバーベキューなどで家で飲む機会も多いニュージーランド。そういった機会で、一人一人が飲む量の多さに、毎回びっくりします。
カジュアルな集まりでは、自分の飲み物は自分で用意するのが、こちらのやり方なんだとか。その量ってどのくらいだと思います?
人によると思いますが、ビールやカクテルが何十本も入った段ボールを何箱も持ってくるのが当たり前なんだそうです。みんなで分けるためじゃないですよ。一人分です。
歴史的な事実として、19世紀にニュージーランドにイギリスから入植してきた西洋人たちは、捕鯨漁師や水兵などが多く、もともと大酒飲みだった種類の人たちです。
そのころ捕鯨港として栄えた北島、ノースランドのRussellにはアルコールが持ち込まれ、原住民の女性に対するレイプも横行し、Russellは当時「太平洋の地獄の穴」と呼ばれていました。
2015年の統計でも、ニュージーランドのアルコールに由来する犯罪率の高さを見ると、興味深い事実と言わざるを得ません。
https://ourworldindata.org/alcohol-consumption
2014年から、社会学、心理学、カウンセリングを学ぶうちに、この国の人々の悲しみ、鬱屈を少しずつ理解するようになりました。
植民地支配の傷跡が、今の時代にも影響し、社会の中の弱者や子供たちを苦しめています。
一方、ニュージーランドは人権や社会福祉、そして植民地支配の影響への取り組みも、他の国々に比べてとても進んでいます。9月12日には、政府は、2022年までに、すべての学校で植民地支配を含めた歴史を教えることを決めました。アメリカ、オーストラリアなど他の国にも、この動きが広がっていくといいと思います。
私は、この国で勉強することができたからこそ、日本にいたままでは、到底気づくことができなかった問題について学び、視野を拡げることができました。
ニュージーランドでそのような機会に恵まれたことは、心から感謝しています。
参考記事
Stuff.co.nz (2018).
One third of Kiwis drinking 'hazardously' their entire adult lives, research shows.
Russell. Bay of Islands. New Zealand (2019). Old History. A Hell Hole.
https://russellnz.co.nz/old-history/a-hell-hole/
RNZ. (2019) New Zealand history will be compulsory in all schools by 2022