これは、僕の怠惰に対する罰なのかもしれない。

ずっと頑張っていた時期があった。
どんなに辛くても、死にたいと思っても耐えて働いて生き抜いた。
運命的な出会いは、自らその状況を変えようと行動したこととそれまで耐え抜いた苦行の褒美だったのだろう。

けど、仕事をやめ…家庭に入り、堕落した。
なにもがんばれなくなっていった。

なんどもサインはあったのに、がんばれない気持ちがそのサインを見て見ぬ振りをした。
楽しい目先のことに酔い、大切でやらなきゃいけない大事なことを先延ばし先延ばししていった。

だから、こうなった。

これは、僕の怠惰に対する罰だ。
あまりにも大きく、取り返しのつかない罰。

後悔した。どれだけ悔やんでも
もう取り戻せない。


「死にたいの」


その言葉の重みは知っていたはずなのに
最終的にはきっと時間が解決して
またもとどおりになると信じていた。

あの時。
泣きながら死なないでと言った。

けど、そのあと
どう励ましたらいいのかわからなかった。
繊細なガラスのようで
ちょっとした言動でも傷ついて壊れてしまいそうで、僕は行動を躊躇した。
そして、自分に言い訳を繰り返しながら毎日が過ぎていった。

いくじなしの僕。
すがりついてでも、泣き叫んででも
真正面から
「死なないで!!」
と言えたらよかった。

考えるより、後先考えず抱きしめればよかった。


僕への罰。

ほんとうに、ほんとうに…ごめんなさい。
抱きしめてあげたかった。

一緒にいたかった。

信じていた、変わらぬ絆が消えた時。
僕はどうしたらいいんだろう?

いた時はなにも思わなかったのに
いなくなってからどうしてこんなに執着するのだろう。
こうなったのも、その人の所為と恨んでいるのかな。
こうなっているのは自分の所為なのに。


築き上げてきた過去を否定するようになってきた。
この人生は失敗作だと。


だからどうするの?
どう足掻いても、生き抜くしかないのに。


頭が重い。
人には、「前を向いていこう!」と励ましておきながら自分はこのざまだ。

しんどい。
生きていく意味があるはずなのに、なんか疲れてる。
大事なものはまだまだあるはずなのに、
すべてを投げ出したくなっている。


ああ、そうだった。
僕は、もともと僕が嫌いだった。
苦しくて辛い…悲しい。
なのに、その上自分の無能さに嫌気がさす。そしてそれを話してこの重い気持ちを少し軽くする相手がいない。

ああ、話す相手がいるだけで負担が軽くなるってきっと本当にあるんだなと…共有できなくて1人問題を抱え込むことで知った。
これは、苦しいな、、、
抱え込む問題のスケールは他の大変な人と比べるときっと小さなもの。だけど、こんなに苦しいんだもの。

苦しくて寝るのも辛い。
もやもやしたものが胸の中にぐにゃぐにゃ動き回り気持ちが悪い。

「話せない」は辛い。


手を伸ばせば、その相手はいる。
だけど、僕が抱える問題は相手を困惑させるだけだと知っているから。自分で解決しなくてはいけないことなのだ。

深い悲しみ…人生の基盤がぽっかり1/4消えるほどの悲しみのはずなのに、たいしたことない時に流す涙と同じくらいにしか泣けていない。
だから違和感に戸惑う。
世界が消えてしまったくらいの大事の筈だ。
この先の未来をすべて否定したい筈なのに。
僕は壊れず普通でいられているのはおかしいんじゃないか…と、ふと思う。
悲しみが失礼なくらい足りない気がしてならない。

この先に起こり得た未来ばかり思念にちらつくのに。起こり得ないと知った未来を…世界を認めたくないのに。
全てが間違いで、このパラレルワールドをありえない世界を頭の中で体験しているだけだと信じたいのに。

心に穴が開いたまま…いるべき人がいないまま毎日が普通に朝が来て夜がきて。
あの日から遠ざかっていく。

いつもどおり過ごしていた時と同じようにいつもどおりの日々が過ぎてゆく。
狂おしい程叫びだしたい悲しみは無意識に封印でもしているのだろうか?…これが、「大人になる」という感情なのだろうか?

本来の私らしくなく、否定したいこの現実を小さく握りつぶして噛み殺しているような気分。
苦い、苦い薬味のゴムを咀嚼しているようだ。
そんなことをしながら普段どおりの生活を送る。

悲しい筈なのに、車の免許が失効して試験が落ちて流した悔し涙と同等のレベルの涙のように思える。

とても特別な人なはずなのに。
人生の基盤の1/4の人だったのに。
心に開いた穴は塞がることはないのに。
こんな大切な人を失くしても、涙や悲しみは…他と比較もできなく変わらないんだな。

この違和感。
自分が冷たい人間に思う。

失くしても他で泣いた時の感情と変わらぬ悲しみ。
違いは、消えることのない喪失感と哀しみの長さ…か。