世界経済とチョコレート③ カカオの先物取引価格高騰がどう影響する? | 世界のチョコレートと旅暮らし手帖

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1粒で幸せになるチョコレートの世界。美味しい魅惑のチョコレートを求めて、様々な地に訪問する筆者の仕事レポートと、ショコラ会等イベント情報のお知らせなどをお伝えします。

世界経済とチョコレート①円安とチョコレート

世界経済とチョコレート②運河問題

 

さて3回目の世界経済とチョコレートは、昨今ニュースで話題となっているカカオの

先物取引価格高騰がどう影響するか?です。

チョコレートがお好きな方はニュースでカカオの価格が高騰しているというのを

耳にされているかもしれません。

①にかいた円安為替と同じように、カカオの先物取引価格が急激に高騰しています。

このニュースはいくつかのビジネスニュースでも流れています。

ブルームスバーグのニュースなど)

 

コモディティのカカオは先物取引価格で価格が先に決定してその価格で流通しています。

この価格が今年の4月に入りわずか3年の間に約4-5倍ほどにまで達しています。

ICCO(国際ココア機関)が公表する価格で、2021年4月1tあたり2,340USD であったものが

直近のデータ4/12 では10,987USDにまで跳ね上がっており、毎日価格が上昇し続けています。

 

トモエサヴールが紹介しているチョコレートメーカーは皆さん、すべてダイレクトトレード

といって、直接カカオ農家しくはカカオ農業組合と取引するため、この価格に左右されず

取引をしており、高品質なカカオを提供してもらえたら、コモディティ価格の2倍、

3倍で買います、などという価格提示も一つのモチベーションアップ、

信頼関係の確立、品質向上と維持をする手段のひとつとしてきました。

つまり今までプレミアムなカカオはこの価格で、、といっていた価格を

コモディティ価格がさらに上回っている状況なのです。

 

各社に現状の状況がどういう影響を与えているか?というヒヤリングをしています。

カカオ生産者に最も近い、チョコレートだけでなくカカオを販売しているメーカー

やカカオ生産者は価格があがることはポジティブにとらえられています。

チョコレートメーカー側が状況のレポートをするには、生産組合自体は、自分達の

カカオのクオリティにプライドと誇りをもっておりやりとりをするのは難しくないが、

カカオ農家たちは、この価格上昇で、組合にもっていく前に路上で販売して高い収入

を得ることを期待している人を多く見かけるといいます。それがどんなに低い品質で

あったとしても仲買人に高く買い取られていくからです。

自分の仕事に生きがいや品質への誇りをもっておらず金銭面だけに着目している人々は

この状況に簡単に流されていってしまうと。

そのため、これからのプレミアムなカカオにおいて、どのような基準で購入を決定し

どのような値付けをするかというスキームの再定義をしなければならない局面にある、

ということです。

 

私たち消費者にチョコレートが届くころ、どのような影響があるか、ですが、

価格の上昇は避けられないと思います。しかし、チョコレートメーカーも企業努力を

してくださっており、先に価格の約束をして買いつけている在庫(まだ価格が上昇する前の)

と上昇してからのものを合わせて、同じくらい急激にあがらないように工夫はするつもりだ

ということですが、それでも長期的にみてその手法は使えなくなっていきますから

どんどん上がっていく一方だと思います。価格があがる理由に先のブログに前述しました

①と②も加わります。

国内のメーカーのチョコレートであってもカカオは海外から輸入しているので同じ状況

と思います。

 

私がこの10年チョコレートを販売してきて、市販されているチョコレートの約10倍

の価格のチョコレートを販売していて、お客様から言われる言葉の中に、

「めちゃくちゃ高い!」

という人と、「この価格は当たり前だよね」という方に分かれていました。ひとつの

事象に対して捉え方が全く違う人がいて、見えているものが違う。

人はそれぞれ、その人の中に「基準」を持っていると思います。が、この「基準」が

いったいどこからきているものなのか?を考える時が来ているのだと思います。

カカオはいつでも私たちに問題定義をしてくれます。

 

長らくコモディティのカカオとして大量生産される世界の大半のチョコレートを支えて

きた西アフリカ諸国のカカオが不作になった理由はなんでしょうか?

気候変動、気候変動はどうして起こっているのでしょう?

カカオが実をつけない、正しくお金は農業の振興に使われてきていなかったのでは

ないでしょうか?

そして、それはだれか自分以外の人が悪いのではなく、常にその価格で求めた消費者

(その中に自分も含まれる)がいるからに他ならないのではないでしょうか。

企業は常に求められるものを提供し続けているからです。

何もかもはつながっていて影響をしています。だからこそ私たちは自分たちの身の

まわりで起こること、自分が影響することができる範囲でのアクションで未来を作って

いるのだと思います。

今、私たちはついにこの問題について考える時がきているのかもしれません。

大きなことはできなくても、例えば、こうした問題について考えたり選択を変えたり

することはできます。

 

まだ今は4月。来年の1月にチョコレート市場のメインとなるバレンタインに

どんなことをお伝えできて、どんなチョコレートをお渡しできるのか、、、この数か月

にも刻々と状況はかわっていくように思います。またブログでもいろいろお伝えして

行けたらと思います。