1.新株予約権
会社が約定に従って新株を発行又は自己株式を移転する契約である。

新株予約権は、返済義務のある負債ではなく、資本取引によるものではないため株主資本以外の純資産とする。

新株予約権の行使時に新株を発行する場合には、資本金又は資本金及び資本準備金に振り替え、権利の失効の場合、株主資本とならないことが確定するため、失効による戻入益は特別利益(新株予約権戻入益)として処理する。

権利行使時に自己株式を処分する場合には、自己株式の処分の会計処理に準ずる。

自己株式処分の対価から自己株式の帳簿価額を控除した額である自己株式処分差額を「その他資本剰余金」に加減する。

ただし、その他資本剰余金が負の値となった場合には、その他資本剰余金をゼロとし、その他利益剰余金(繰越利益剰余金)から減額する。

2.ストックオプション

ストック・オプションは、自社株式オプションのうち、特に企業がその従業員等に、報酬として付与するものをいう。
新株予約権をストック・オプションとして利用する。

3.新株予約権付社債
新株式を引き受ける権利を付与された社債をいう。

転換社債型新株予約権付社債の発行者は、一括法と区分法の会計処理を選択適用ができる。
(1)区分法
発行に伴う払込金額を社債の対価部分と新株予約権の対価部分に区分する。新株予約権は、純資産の部に表示する。

社債の対価部分(帳簿価額)は、普通社債の発行に準じて処理し、新株予約権の対価部分(帳簿価額)は、新株予約権の発行者の会計処理に準じて処理する。

(2)一括法
発行に伴う払込金額を社債の対価部分と新株予約権の対価部分に区分せず、普通社債の発行に準じて処理する。

社債の発行価額が額面金額と異なる場合は、償却原価法で算定した貸借対照表価額とする。金利調整差額の償却額は社債利息に含めて処理する。

4.その他の複合金融商品
(金融基準116、117)


問題1
次の文章の(ア)~(ケ)に当てはまる適切な語句又は数字を答えなさい。

1.新株予約権付社債のように契約の一方の当事者の払込資本を増加させる可能性のある部分を含む複合金融商品については、払込資本を増加させる可能性のある部分とそれ以外の部分の価値をそれぞれ認識することができるならば、それぞれの部分を区分して処理することが(ア)である。

その対価部分は、社債及び新株予約権の払込金額又はそれらの(ア)な(イ)で配分か、一方の対価を決定し、これらを(ウ)から差し引いて他方の対価を算定する方法による。

2.金利オプション付借入金など
契約の一方の当事者の払込資本を増加させる可能性のある部分を含まない複合金融商品は、原則として、それを(エ)する個々の金融資産又は金融負債とに区別せず(オ)として処理する。

3.当期首に従業員に対して新株予約権150万円を付与した。

新株予約権のうち70万円の新株予約権の失効を見込んでいたが、権利確定日までに失効したのは50万円である。権利確定日までの処理はすでに行われている。

当期末に新株予約権のうち100万円が行使され、権利行使に伴う払込金250万円が当座預金に振り込まれたため、新株を発行し、会社法が認める最低額を資本金とする。

当期末に権利行使された新株予約権における資本金(カ)万円と資本金準備金(キ)万円である。

4.当社(決算年1回)は、新株予約権付社債を以下の条件で発行した。

額面総額200万円、期間5年、新株予約権の付与割合100%の条件で、当期首に額面発行したものである。

発行価額100円のうち、社債部分85円、新株予約権部分15円である。

新株予約権付社債は、区分法によって処理し、社債部分については定額法による償却原価法を適用する。

上記の新株予約権のうち、当期中に50%が権利行使(株式転換)され、払込金額120万円が当座預金に振り込まれていた。(処理ずみ)

当期末の貸借対照表における社債(ク)万円、新株予約権(ケ)万円である。


解答
(ア)合理的(イ)見積額の比率(ウ)払込金額(エ)構成(オ)一体
(カ)175(キ)175(ク)15(ケ)176


解説
1.権利行使された新株予約権における資本金及び資本金準備金は、(100+250)万円×1/2=175万円である。

2.新株予約権付社債
(1)発行時
社債部分
200万円×(85/100)円=170万円
新株予約権部分
200万円×(15/100)円=30万円

(2)権利行使後
新株予約権残高30万円×(1-50%)=15万円
社債部分について償却原価法(定額法)を適用する。
200万円×(1-85/100)円=30万円÷5年=6万円
償却原価法(定額法)を適用後
の社債残高は、170万円+6万円=176万円である。