1.資本配分

収益性の高い投資案を選択したいと考えているが、資本の制限のために投資案を配分することを資本配分という。

(1)相互排他的投資案

排他的に1つしか選択できない投資案とは、ある案を選択するれば他を選択することができないことを意味する。

例えば、複数の投資案がある場合、正味現在価値が一番大きい投資案を1つを選択する。

(2)独立投資案

1つの投資案の選択が他の投資案の選択に影響を与えない投資案。

①制約のない独立投資案

正味現在価値のプラスの投資案をすべて選択する。

②制約のある独立案

正味現在価値の大きさの順に投資案を選択するが、投資資金の上限がある場合は、すべての投資案を選択できないということがある。

例えば、投資に回すことができる資金の上限が300万円で、3つの投資案のうち、いずれの投資案を選択すべきか検討している。

A案の場合、投資額200万円、NPV40万円である。
B案の場合、投資額100万円、NPV20万円である。
C案の場合、投資額300万円、NPV54万円である。

この場合、正味現在価値が大きい投資案は、C案の54万円である。
しかし、A案とB案の正味現在価値を合計すると60万円となり、C案の54万円を上回る。
資金上限300万円なので、この2つの投資案(A案とB案)を選択する方が優良な投資案である。
なお、選択する投資案の判断を誤る可能性があるのでそれを避ける方法としてPIC法が使われる。

PIC法とは「制約条件下での利益指標」で計算式は次の通り。

正味現在価値÷制約資源(初期投資額)

PIC法でA~C案を計算すると
A案の場合、PIC20%
(NPV40万円÷投資額200万円)
B案の場合、PIC20%
(NPV20万円÷投資額100万円)
C案の場合、PIC18%
(NPV54万円÷投資額300万円)

PICの数値が大きい投資案から順に、資金の上限内で選択していけばよい。


2.相互排他的投資案の評価

投資案ごとで設備の耐用年数が異なる場合、投資案の比較方法の意思決定期間の算定方法は次のとおり。

①同案に反復投資は、各投資案の最小公倍数の期間を意思決定期間とする。

②別の案に反復投資(同じ投資案に再投資)をするのか、あるいは別の異なる投資案に投資する予定なのかによって、比較方法が変わる。
は、耐用年数の長い案に意思決定期間を合わせる。

この場合、意思決定の評価は、除却後も再投資率により運用したと仮定するので、各年度のキャッシュ・フローを全てその年度で再投資したと仮定していく。
従って、再投資率5%だったら105%の金額を最終年度までキャッシュ・フローを計算する。