11.支配獲得後の持分変動

(1)子会社株式を追加取得

子会社株式を追加取得した場合には、追加取得した株式に対応する持分を非支配株主から減額し、追加取得により増加した親会社の持分を追加投資額と相殺消去する。

株式の追加取得は資本取引として処理されるので、追加取得における消去差額は資本剰余金とする。

(2)子会社株式の一部売却

子会社株式の一部売却を売却しても連結会社間の支配関係が継続している場合、売却した株式に対応する持分を親会社持分から減額し、非支配株主持分を増額させる。

株式の売却は資本取引として処理されるので、売却における消去差額は子会社株式の売却損益を修正して資本剰余金とする。

尚、売却したことにより支配を喪失し子会社に該当しなくなり、関連会社となった場合には、親会社が保有する子会社株式の帳簿価額は持分法を適用する。

さらに、株式の売却により当該会社が関連会社にも該当しなくなった場合、残存する当該会社の株式は、親会社の個別貸借対照表上の帳簿価額で評価する。

12.子会社の時価発行増資

(1)親会社持分比率が変更しない場合

増資によって増加した子会社の資本の額を持分比率で按分して、親会社の追加投資額と相殺消去する。

消去差額が生じた場合、追加取得や一部売却と同様に差額を資本剰余金とする。

(2)親会社持分比率が変更した場合

投資と資本を相殺消去するのみではなく、追加取得又は一部売却に準じて処理を行う必要がある。

(a)持分比率が増加する場合

親会社のみなし取得価額と親会社の持分増加額との間に差額が生じた場合には当該差額は資本剰余金とする。

(b)持分比率が減少する場合

みなし売却価額と親会社の持分減少額との間に差額が生じた場合には当該差額は資本剰余金とする。

13.退職給付に係る調整額等

連結貸借対照表では、退職給付債務と年金資産の額の差額を退職給付に係る負債又は退職給付に係る資産として計上する。

個別貸借対照表において確定給付制度を採用し、原則による退職給付債務を算定している場合、期末時点の退職給付債務及び年金資産の実績の数値が反映されていなかったが「包括利益の表示に関する会計基準」により連結貸借対照表では実績の数値を反映させる。

そのため、連結貸借対照表に計上される負債の変動額と退職給付債務の調整額はその他包括利益に計上することになる。

(1)数理計算上の差異及び過去勤務費用の費用処理方法及び費用処理年数については、個別財務諸表上、連結財務諸表上で相違はない。

数理計算上の差異は、発生年度又は翌期から定額法等により平均残存勤務期間以内の期間で費用処理する。

過去勤務費用は、発生年度から定額法等により平均残存勤務期間以内の期間で費用処理する。

(2)数理計算上の差異及び過去勤務費用の当期発生は、費用処理された額は退職給付費用として計上し、費用処理されなかった額(未認識項目)については、税効果を調整の上、純資産の部にその他包括利益(退職給付に係る調整額)に含めて計上する。

(3)その他包括利益累計額に計上されている未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用のうち当期に処理された部分については、その他包括利益の調整(組替調整)を行う。

その他包括利益累計額とは、その他包括利益として計上した退職給付に係る調整額の累計額をいう。

14.子会社に係るその他の包括利益累計額

子会社のその他の包括利益累計額については、支配獲得日は、親会社に帰属する部分は投資と相殺消去され、非支配株主に属するする部分は非支配株主持分に計上される。

支配獲得日後については、親会社に帰属する部分はその他の包括利益累計額として計上され、非支配株主に属する部分は非支配株主持分に計上される。

子会社株式の追加取得を行った場合、その他の包括利益累計額は利益剰余金と同様に処理する。