1.定義

企業結合とは、ある企業またはある企業を構成する事業と他の企業または他の企業を構成する事業とが1つの報告単位に統合されること。
共同支配企業の形成と共通支配下の取引も含まれる。

2.合併や株式交換等

合併とは、2つの以上の会社が契約により、1つの会社になることである。合併には、吸収合併と新設合併がある。

株式交換とは、その発行株式の全部を他の会社に取得させることをいい、株式移転では新たに設立される会社に取得させることとなる。株式全部を保有する会社が完全親会社となり、株式全部を保有される既存の会社が完全子会社となる。

3.共同支配企業の形成

複数の独立した企業が契約等に基づき、当該共同支配企業を形成する企業結合をいう。

4.共通支配下の取引等

企業集団内における組織再編には、共通支配下の取引と非支配株主との取引がある。これを共通支配下の取引等という。
共通支配下の取引とは、結合当事者(又は事業)のすべてが企業結合の前後で同一の株主により支配される企業結合をいい、親会社と子会社の合併及び子会社同士の合併も共通支配下の取引に含まれる。
非支配株主との取引とは、非支配株主から子会社株式を追加取得する取引をいう。

5.取得と持分の結合

企業結合には、取引の経済的実態にあわせて、取得と持分の結合の考え方がある。

(1)取得とは、ある企業(取得企業)が他の企業(被取得企業)又は企業を構成する事業に対する支配を獲得するこという。
支配とは、会社又は事業の経営意思決定を左右する能力があることを意味する。

(2)持分の結合とは、いずれの企業(又は事業)の株主(又は持分保有者)も他企業(又は事業)の支配を獲得せず、それぞれの企業のリスクを便益を共有し一つの報告単位をいう。

6.企業結合における会計処理

(1)パーチェス法とは、取得会社が被取得企業の認識可能な資産及び負債を時価で評価する方法。

(2)持分プーリング法とは、被結合企業の資産、負債及び資本を適切な帳簿価額で結合企業に引き継ぐ方法。

(3)企業結合のその他の会計処理としてフレッシュ・スタート方法がある。
フレッシュ・スタート方法では、取得企業と被取得企業の両会社の資産及び負債を再評価される。

7.取得とパーチェス法

企業結合は、法的形式を問わず、すべて取得(共同支配企業の形成及び共通支配下の取引は除く)のパーチェス法により会計処理される。

(1)パーチェス法
被結合企業から受け入れた認識可能な資産及び負債を時価評価し、受け入れ純資産と取得の対価の差額をのれんまたは負ののれん発生益として会計処理する。

(2)取得企業の決定
パーチェス法を適用するには結合当事企業のどれが取得企業かを決定しなければならない。この決定には、連結基準の支配力基準を用いて支配を獲得した企業が取得企業となる。
ただし、取得企業が明確に決定ができない場合、主な対価の種類による。

企業結合の対価が現金等の場合は、現金を支払った又はその他の資産と負債を引き受けた企業が取得企業となる。

企業結合の対価が株式の場合は、株式を交付した企業が取得企業となる。(ただし、逆取得も考えられる。)

(3)取得原価の算定
被取得企業(または取得した企業)の取得原価は、取得の対価(支払対価)となる財の企業結合日における時価で算定する。

取得の対価となる財が現金以外の合併や株式交換のように株式が交付される場合、交付株式数を決定して株価を乗じて計算する。

企業結合に要した支出のうち外部のアドバイザー等に支払った特定の報酬・手数料等の取得関連費用は、発生した事業年度の費用として処理する。

(4)取得原価の配分
取得原価は、被取得企業から受け入れた資産及び引き受けた負債のうち企業結合日時点において認識可能なものの企業結合時点の時価を基礎として、当該資産及び負債に対して企業結合日以後1年以内に配分する。

被取得企業の仕掛研究開発が識別可能な資産であるとして取得原価が配分された場合、これを企業結合日の時価で資産計上する。

8.のれんの財務諸表上の表示

のれんは、貸借対照表上、無形固定資産に計上し、20年以内の効果の及ぶ期間で定額法等により償却する。
損益計算書上、のれんの当期償却額は販売費及び一般管理費に負ののれん発生益は、特別利益として計上する。

9.逆取得

(1)意義
企業結合において、企業又は事業を受け入れる企業が支配されるので、消滅会社が取得企業に存続会社が被取得企業になる。

通常は、吸収合併等した際、株式を交付する存続会社が取得企業になる。
しかし、合併に際して、消滅会社が存続会社が交付する議決権付株式の過半数を所有する場合は、消滅会社に支配されてしまうことになり、株式を交付していない消滅会社が取得企業となる。

(2)会計処理
会社法上、存続会社(被取得企業)は、消滅会社(取得企業)の資産・負債を適正な帳簿価額で引き継ぐ。

10.共同支配企業の形成及び共通支配下の取引の会計処理

(1)共同支配企業の形成は、支配関係には変化が生じないため「持分の結合」という考え方が維持されており被結合企業の資産及び負債の適切な帳簿価額で結合企業に引き継がれる。
廃止され持分プーリング法と同様の処理が行われる。

(2)共通支配下の取引は内部取引として処理する。