ドラマの会話を抜粋し、解説しています。
ネタバレにご注意ください
前回からシーン から
変わって階下(Downstairs)の使用人達の食堂。階上(Upstairs)の朝食が遅いので、使用人達はお昼の12時の昼食を取ります。
食事の準備の最中、執事カーソンがご高説を始めます。
Carson: Downton is a great house, Mr Bates, and the Crawleys are a great family. We live by certain standards and those standards can at first seem daunting.
ダウントン(アビー)は由緒あるお屋敷で、ベイツさん、そしてクローリー家は名家でもある。我々はしっかりとした道徳規範に則って行動するが、初めはそこに気後れするかもしれない。
・great houseには時代や話し手で意味が変わります。ここでは19世紀後半から20世紀の変わり目にかけてよく使われた意味で、豪華な装飾があり、それらを維持する大勢の使用人達がいる大きな屋敷のこと。
・great familyは名の知れた名家。
・live byはここでは信条・規則など何かに従って生きること。
・Mr Batesという声掛け。少なくともイギリス・アメリカでは日本と違い、こんにちは・失礼しますの挨拶の代わりにや、『 Yes, Mrs Patmore 』と返事と合わせてなど名前をよく言います。
こういうところでも個人を重んじているように感じます。
・the Crawleys は名字の前にtheと後にsをつけるとクローリー家と家族全体をさします。
アメリカの有名なアニメThe Simpsonsもその一つです。
・standardsは複数形で、社会的通念、良識・倫理など誰かが正しい行いと思われる形ないものを含めたある基準。つまりここではカーソンの考えるダウントンアビーでのそれぞれに役割に相応しいとされる振る舞い・規律。
個人の考えが強いため、厳しすぎる・古臭いと思って従わない下僕も出てきます。それを見る度に叱りつけるのがカーソンの仕事でもあるようです
序列が厳しいので部下は従いますが、やはり偏ってもいるので、カーソンのstandardsに同立場のヒューズなどが反対したりする時もあります。
・dauntingは何かをするのをためらわせる、畏怖を感じさせること。
仰る通りです。
・of courseと言えば、もちろんという言葉がよく出ますが、相手の意見を賛成する時にも使います。
Carson: If you find yourself tongue-tied in the presence of his lordship, I can only assure you that his manners and grace will soon help you to perform your duties to the best of your abilities.
もし旦那様の存在に緊張して言葉が詰まったとしても、私からの確実に一つだけ言えることは、旦那様のお振る舞いや思いやりによってすぐに君は己の成すべきことを存分に務めを果たせるようになるだろう。
・find oneself=realize or learn。よく使われ便利な表現ですが、日本語に翻訳しようとするも訳されない・訳しづらい表現だったりします。
・tongue-tiedは緊張してくちごもる。
・graceは上品以外に気遣いという意味もあり。
・to the best of one's abilityで、全力を尽くして、務めて。
Mr Bates: I know-
わかります-
途中で当主のロバートが階下に現れます。
Robert: Bates! My dear fellow!
ベイツ!我が友よ!
・dear fellow=good man/male friendの古い言い方ですが、今もかしこまって使われる場合あり。
使用人たちが一斉に立ち上がります。
Robert: I do apologise. I should have realised you'd be at luncheon.
申し訳ない。昼食中だったと気づくべきだった。
Carson: Not at all, m' lord.
とんでもございません。
Robert: Please sit. Sit everyone. I just want to say a quick hello to my old comrade in arms. Bates, my dear man. Welcome to Downton.
どうか座って欲しい。皆座ってくれ。懐かしき戦友に少しだけ挨拶をしたかっただけだから。ダウントンへよく来てくれたね。
・sitは座るの中でも命令寄りの座れです。
sit >take a seat>have a seat。
ただし、相手との関係性や言い方で命令、お願い、もてなしかに変わります。
ちなみにロバートの最初の"please sit"は提案寄りな言い方ですが、主人が立っているのに座るわけにはいかない使用人に向けて、わざと2回目は"sit everyone"は命令寄りです。
命じられれば従うべきなので、執事のカーソン以外は座ります。
ダウントンアビーの英語はこういった微妙な言い方の違いが出ていて勉強になります。
・in armsは腕の中へという意味もありますが、ここでは
・"comrade in arms"で戦地で助けてくれた仲間、盟友。
また、イギリス人はthe reserved people(感情を表に出さない国民性)と言われますが、人によってどんな感情かによるもので、戦友に対しては大げさなくらい喜び、一方でベイツの足の不具合にへの動揺は隠します。
Robert: I'm so sorry to have disturbed you all. Please forgive me.
皆の邪魔をして本当にすまなった。どうか許してくれ。
・pleaseを最初に出すのもどちらかというと親しい人や下の立場の人間に対してよく使う言い方でもあります。
"Will you forgive me?"と疑問型にしたりすると、本当に相手に許しをもらおうとしていますが、これも言い方や状況でニュアンスが変わったりします。
ここでのPlease forgive me.はお邪魔しました、くらいの形だけの謝罪に近いです。
ですが、これも立場や言い方で本当にお願いしている場合もあります。
ロバートが去るとカーソン含む使用人らはベイツに注目します。
Bates: You never asked.
(戦友だったことは)聞かれなかったもので。
今日はここまでです。少しでもドラマをより楽しむための英語理解のお役に立てればです
続きはこちらからもみれます