『うしろ」『すきま』というひらがな3文字シリーズの3作目。
目立った受賞作はないが、日本ホラー大賞の最終候補に残った作品はある。
ホラー小説の他にミステリーも書き、海外のホラー小説の翻訳も手がける。

本作品は前作2作を含め書かれた時期にすでに読んでいるが、続く『さかさ』『おそれ』をまだ読んでいないためもう一度読んでみた。

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比陀理神社が町で唯一の神社である比陀理という土地には厳しく定められた決まりごとがあった。
横浜から両親と越してきた左 言美は中学の陸上部の生徒がトラックを普通とは逆の右回りに走っていることに気づき、他にも路線バスも回覧板も右回りに回すことが決められていることを知る。

比陀理神社も鳥居を出入りする時は必ず右足から出入りすることが定められていた。
理由は示されていないが地元の人間やゆかりのある人間は皆その事を知っていて、左足からくぐった場合顔が腫れるとか顔の左半分が焼けるように熱くなり痛むなどと言われていた。

毎年家族と初詣に来ている比陀理神社で巫女のバイトをすることになった「みさと」は巫女の衣装を左前に着てしまい、怪死する。
またジョギングしていた「秋彦」は神社の決まりを知らず鳥居をくぐってしまい、右足から出入りすることが書いてある看板を見た後はわざと左足から出て、変死する。
彼らの死体は、決まって顔や体の左側の損傷が激しかった。
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シリーズもので、ひらがな3文字と八神宇鏡という名前の「聖域修復師」が登場する。
聖域修復師とは神社などの聖域を巡り、正しく神々が祀られていない場所の危険な箇所を修復するという職業。
八神宇鏡自体は本作品はあまり活躍しない。

少しグロテスクな表現が多いタイプのホラー小説。
「夏はやっぱりホラーだね」ってことで次は本作品に続く『さかさ』を読む予定。

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