袁世凱の思いがけない言葉に一同驚いて

 

醇親王「勅命に対し不本意であるなどと無礼であろう」

 

袁世凱「孫文率いる革命勢力を一刻も早く抑えるためには、無力な皇族内閣を直ちに解散し軍官一体なる強力な政府を建てることが急務であると考えます。どうか、この袁世凱に全権を与えられますよう御願い奉りまする」

 

一同唖然としざわつき出す。醇親王は頭を抱えうずくまってしまった。

 

徐世昌「控えよ袁世凱!陛下はまだ幼少にあらせられるぞ」

 

戴沢公「貴公は昨日、現内閣の一閣僚として努力すると誓うたのではないのか!」

 

袁世凱「さて・・天に誓った覚えはないが・・」

 

とうとう泣き始めてしまった宣統帝にスポットがあたり西太后の声が語りかける

 

西太后の声『溥儀や、これから私のいう事をそのまま口にするんだよ。「汝、袁世凱、はい」

 

二人の声が合わさりり、舞台が明るくなる

 

宣統帝「汝、袁世凱。そちの述べるところよく理解した。重ねて勅命を達する」

 

一同あわててひざまずく。声は宣統帝だけになり

 

宣統帝「現内閣をただちに解散せしめ汝を内閣総理大臣とし、人事については全権を与う。たとえ親王、皇族といえども意義を認めず。みなの者たいぎであった」

 

宣統帝が自ら300年続いた清国の終わりを告げたのである。皇族たちが泣き崩れる中、袁世凱と徐世昌が立ち去って行く

 

皇帝も玉座を下り退出すると、戴沢公が醇親王を抱えて立ち上がらせる

 

醇親王「兄さん、とんだことになりましたね」

 

戴沢公「やつは最低の男だ。だが信じた我々も最低以下だ」

 

醇親王「これからどうなさいますか」

 

戴沢公「どうもこうもなかろう。こうなったらロンドンでもパリにでも逃げてやる」

 

醇親王「うらやましいですね。私は皇帝の父である限り逃げ出すことはできません」

 

戴沢公「それにしてもたった6歳の陛下があのような・・」

 

醇親王「成仏できずに紫禁城をさまよっている西太后様の魂が陛下の口を借りて聖断を下したのかもしれませんね」