政権交代の実務に追われる徐世昌が布告文を春児に見せている

 

春児「これは宣統陛下御退位の詔でございますか」

 

徐世昌「はい。民心の多くは今や共和制を望んでいます」

 

春児「清国は滅び新たなる立憲共和制の国が誕生するのですね。ところで閣下は梁文秀様を覚えておいででしょうか」

 

徐世昌「はい。進士登第は同じ年でした。もっとも彼は二十歳の状元、私は30を過ぎてようよう合格できたのです」

 

春児「閣下の仕事ぶりは彼に似ておいでです」

 

徐世昌「光緒陛下のご親政の中心が康有為でなく梁文秀であれば歴史は変わっていたはずです。光緒12年の科挙は人材の当たり年と言われたものです。しかし状元の梁文秀は日本へ、傍眼の順桂は太后陛下の命を狙って爆死。探花の王逸は軍人となり袁世凱に追い越されて行方知れず。おかげで私のような者が拙い文書をしたためるはめになりました」

 

春児「あなたは清王朝と中華民国政府の間をつなぐ架け橋です」

 

布告文を返し二人は礼を交わし春児が去って行く。入れ替わりに袁世凱が徐世昌に近づく

 

袁世凱「春児の奴はどうしているのだ」

 

徐世昌「宣統帝のお側にいる」

 

袁世凱「奴にはもうひと働きしてもらおう。密偵からの情報によると春児の生き別れた兄が張作霖の子分になっているらしい」

 

徐世昌「君が何を画策しているのかは知らんが、もう私を巻き込まないでくれ」

 

袁世凱「よかろう。勝手にやらせて頂こう」

 

 

袁世凱は天命のみしるしである龍玉を張作霖から手に入れようと、交渉の使者に春児をたてようとしている。

 

 

「蒼穹の昴」を懐かしく思いながら徐世昌に語っていただきました。

昴シリーズの「天子蒙塵」の中で「若い毛沢東に教育したのは王逸という軍人らしい」という記述があります。