宮殿では醇(ジュン)親王や徐世昌(ジ・ョシイチャン)らが袁世凱の参内を待っている。

袁世凱の復職を快く思わない戴沢公が嘆く

 

戴沢公「袁世凱を放逐して3年、皇族内閣の力で国を立て直してきたというのに・・まったく、革命軍を抑えるのは奴しかいないのか・・」

 

そこへ宣統帝に仕えている春児が近づいて

 

春児「殿下、私は昨日、徐世昌閣下と共に袁将軍を訪ねました。将軍は現内閣の一閣僚として努力すると誓われました。その旨を本日奏上なされます」

 

戴沢公「さようか。それはご苦労であった」

 

宦官「袁世凱閣下、参られました」

 

みなが一斉に並ぶ中、戴沢公だけは立ち前を通り過ぎた袁世凱に聞こえるように言う

 

戴沢公「何故漢人将軍の足元にかしづかねばならぬのじゃ」

 

袁世凱「(振り返り)沢(ゾウ)殿下。殿下は西洋かぶれの不良皇族だとばかり思っておりましたが、なかなか気骨がおありの様で・・何もかもあなたが差配下されば本官は直ちに郷里へと帰りますが・・」

 

悔しがる戴沢公。春児が皇帝の着座を告げる

 

春児「宣統帝陛下、隆裕(ロンユイ)太后陛下、ご出御あそばされます」

 

一同玉座に向かい膝を折る。6歳になった宣統帝が玉座に着くと銅鑼が鳴り響いた

 

醇親王「陛下より袁世凱に御勅諚(ごちょくじょう)を賜ります」

 

宣統帝「苦しゅうない、詔書の代読を許す」

 

醇親王「(一礼して詔書を広げ)袁世凱を湖広総督に任ずる。つとめつとめて、よく朕が志を大せよ。とくに勅諭をもって命ず」

 

宣統帝「みなの者、たいぎであった」

 

一同立ち上がり下がろうとするところへ袁世凱が驚きの発言を

 

袁世凱「少々お待ち下されませ。この国家危急の折に有名無実の官職に就くことは私の本意とするところではございません」

 

 

な、何を言うか、袁世凱!