二人は弾丸を詰めながら
春雷「様子はどうだ」
秀芳「どうもこうもねえ、鶏を撃つようなもんだ」
春雷「何羽つぶした」
秀芳「さあな7,8羽か。だが親鶏はあんたに取られた。面白くねえ」
そこへサーベルを振りかざしロシアの騎兵が向かってきた。二人は雪を蹴って足場を定め銃を半身に構えた。迫って来る馬を引き付けるだけ引き付け、眉間を狙って同時に撃つ!馬は肩から崩れ落ち跳ね飛ばされたロシア兵に春雷は弾丸を浴びせた。
秀芳「大したもんだ。のろいおっさんかと思ったが」
春雷「若造が何を言いやがる」
こうしてシンシャン村の戦いは馬賊の一方的な勝利に終わった。
皆が集まって来て総攬把が告げる
張作霖「李春雷に50人の手下を与える。今日から攬把だ」
馬賊「好!」
春雷「俺が攬把だなんてとんでもねえ」
笑い声と喝采が湧く
好大人「好、好。格好だけでも攬把にしてやろう」
そう言うと春雷の首に巻かれた紅い襟巻をほどき頭を包んだ
麒麟「良く似合うぞ。これで次の戦からは春雷と秀芳の紅白の先陣争いが見られるぞ。どうだね総攬把」
張作霖「好」
馬賊たちが手を叩き、足を踏み鳴らして祝福した。白頭巾の秀芳が近づいて
秀芳「俺はあんたを攬把とは呼ばねえ。雷哥(レイコオ)と呼んでやる」
春雷「それでいい。俺もお前を秀哥(シュウコオ)と呼ぼう。義兄弟ってことだな」
秀芳「あんたは変わった奴だ。戦の最中は鬼や夜叉みてえだが、終わりぁ仏のツラをしてやがる」
馬賊に認められこれからの戦を思いながら駆けだして行く春雷に白太太の声
白太太『行け雷哥。かつてこの満州を駆けた勇者の御魂が汝の盾となって矢弾を防ぐであろう。緋色の羅紗を汝が頭に巻き、満州の大地を駆けよ』