張作霖と春雷の人物像ができたところで、次に登場する人物を本文前に紹介
白猫(パイマオ) 張作霖の馬賊のNO3
好大人(ハオたいじん) NO2の副頭目にして豆腐屋との二刀流 では
その夜春雷は故郷の村から逃げ出す自分を弟の春児と玲玲が追いかけてくる夢を見た
春児「行かないでおくれよ雷兄ちゃん(しがみつく)」
春雷「(懐から一枚の硬貨を出して握らせて)この金で春を待つんだ。兄ちゃんが帰ってくるまで」
春児・玲玲「兄ちゃん!」
二人を振り切ろうとする春雷に張作霖の声がかかる
張作霖『どうせこんな事だろうと思ったぜ。子殺しは許せないだと?だったらこのザマは何だ。おまえが見捨てればみんな冬のうちにくたばるぜ』
頭を抱える春雷
春児「兄ちゃん。おいら一生懸命牛の糞を拾ってマアマアも兄さんも玲玲もちゃんと養うから、きっと帰っとくれよー!」
走り去る春雷ー。舞台暗転し寝ている春雷を白猫(パイマオ)が起こしている
白猫「おい、起きろ新入り。総攬把からのお達しだ。副頭目に面通しする。支度しろ」
春雷「副頭目に?」
白猫「そうだ。俺は三頭目の白猫(パイマオ)だ。白い虎の弟分は白猫(しろねこ)ってことよ」
身支度をして通りに出て行くとあちこちから声がかかる
「おはようございます白猫攬把」「おはよう三頭目」
白猫「おう」
春雷「こんな風に住民と親しく打ち解けている馬賊は知らねえな」
白猫「馬賊はもともと村の自警団なんだ。俺たちはその本分を忘れちゃいない。ところで副頭目は何だって「好、ハオ」と言うんで「好大人」が通り名なんだが、殺した人間の数なら総攬把の上をいく。貫禄から言えば総攬把より格は上だ」
豆腐屋の前に来ると体格のいい店主が客引きをしている
好大人「さあさあ早く買っておくれ。出来立ての八角台の名物豆腐だ。(春雷に)ほれ旦那、真っ白でぷりぷりだぜ」
春雷「あいにくだが俺は豆腐に用はねえんだ」
好大人「ハハハツ。旦那が用が無くたって、豆腐の方で用がある」
春雷「怒るぞ父っあん!たいがいに・・(ハッとして一歩下がり片膝をつき)御無礼をお許しください。俺の名は李春雷。この度縁あって張作霖総攬把の御厄介になります」
好大人「好好。白虎張(パイフーチャン)が連れてきたからには間違いないだろう。まっ、くれぐれも命を粗末にせんようにな」
春雷は立ち一礼して下がり、白猫と共に近くの飯屋に入って卓についた
春雷「近いうちに戦があると言う話だが」
白猫「ああ、シンシャン村を攻める。日本との戦争に負けて残っているロシア人に官軍がお手上げなんだと」
春雷「総攬把が俺に先駆けをさせてやると言うんだ」
その時数人の馬賊が店の前を威勢のいい声をあげて駆けて行った。先頭の男は頭に白い布を巻いている
白猫「秀芳(シュウファン)だ。シンシャン村の下見帰りだろう。まだ若造だが最近はいつもあいつが先駆けだ。めっぽう速いぞ」
春雷「奴より先に馬を駆ければ、俺はこの馬賊で認められるってことだな」
運ばれてきた酒をついで一気にあおる春雷であった