道真達は竹林に身を隠している。権少納言の奥方と初音が歩いてきて、キラツと何かが光っているのに気が付く。
奥方「初音、あれは何?」
初音「え、何でございますか?」
奥方「今、何か光って見えたのです(二人は光の方へ向かう)」
道真「よし、こちらへ来ている。今です」
長谷雄「気づいてくれますかね」
ヨリ「大丈夫です、この子は下ろしたらすぐ泣き出しますよ(草むらに赤子を下ろす)」
道真達は素早く赤子から離れて様子を見ている。赤子がすぐに泣き出した。
奥方「今、赤子の声がしたような」
初音「はい。行ってみましょう」
二人が声のする方へ向かう
奥方「まあ、これは!どうしましょう」
初音「こんな所に赤子が・・」
奥方「(赤子を抱き上げて)おお、よしよし」
初音「どなたか!どなたかおられぬか!」
奥方「(あやしながら)そなたの母御前はどこへ行ったやら。あら?何を握っているの?」
赤子の手を開くと以前に糸が切れて落とした自分の数珠玉である
奥方「これは、まさか、そんな・・。初音、私の数珠玉を握っているわ」
初音「まあ、なんと。・・奥様、これは鬼子母神様の御導きやもしれませんよ」
赤子はすっかり泣き止んでいた