道真と長谷雄は赤子の父親の藤原紀長を大学寮の裏門で待ち伏せしている。

 

長谷雄「紀長たち、いつも裏門から出るんですよ。先生に見つからないからって」

 

道真「お前が言うんですか」

 

長谷雄「だから背格好の似た私が間違えられたんです」

 

紀長たちが近づいて来る

 

道真「あれが藤原紀長ですか?」

 

長谷雄「管三殿も見たことくらいあるでしょう?」

 

道真「知りません。バカの顔には興味なくて」

 

長谷雄「女遊びが激しいとか聞いてことがあったんですけど」

 

紀長たちの話が聞こえる

 

友人「紀長、あの七条の女どうしたんだよ?」

 

紀長「ああ、あの竹林の先のボロ屋な。赤ん坊が出来たとか言って面倒くさくなって行ってねえわ。身分もなけりゃ身寄りもないらしい。俺はこれでも天下の藤原一門だぜ」

 

二人が大きな声で笑いながら門から出て行く

 

長谷雄「許せません!文章生の男の風上にも置けないクズですよ。あんな男が父親だなんて!」

 

道真「紀長は藤原式家の四男ですから金には困らなさそうですけど、あの男に赤子を託すのはやめた方がいいでしょうね」

 

長谷雄「当たり前です!女性を何だと思っているのか・・」

 

道真「なら、母親を捜しましょう。七条のなんとかと言っていましたね。文を持ってきた男も見つかるはずです」

 

二人は赤子の母親の家を訪ねることにした。