墨 写真家・山野耕治の個展に立ち寄る。本人は不在だったが圧倒的である。これはほとんど墨絵と言っていい。なかにどう考えても想像できなかった色彩。トルコ・ブルーが枯葉の透けた毛細血管(植物の場合なんと呼ぶのか知らない)の脇に具わる。不思議だ。永遠と名付けてもいいだろう葉たちが、まさに死んだまま生きているのだ。これ程美しい落ち葉に触れた事はなかった。死は最も完成された生なのか!物産館で鈴鹿の墨を手に入れ会場を後にする。