日本いい橋探訪その1:トラス橋ありがトラス!編。 | 白樺嵐山のブログ

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旅・散歩で気になることをなんとなく「学び」に繋げていくためのブログです。

いい橋とは何かについて、お話しします。

 

大貫谷戸水路橋(神奈川県横浜市)

 

碓氷第三橋梁(群馬県安中市)

 

橋って、いいですよね…。

橋が架けられるというのは、その地形を克服しなければならないという事情と、交通の事情があるということ。

私、人間の文明と自然の豪快さが鬩ぎあっている光景が大好物なんですよね…。

旅先で一期一会の風景と出会い、橋によってその地域の地誌や風俗までも垣間見える。

そのひとつの重大な手掛かりであり、対象そのものでもあるものが、橋なのです。

 

多々羅大橋(愛媛県今治市・広島県尾道市)

 

久野瀬橋(茨城県久慈郡大子町)

 

というわけで今回は、日本国内にある思い出深い橋を巡りつつ、なんとなく橋について理解を深めてみようと思います。

しかしながら私は、物理や工学については完全に門外漢の文系人間であるので、本ブログでは橋の構造の名前を覚えることを目標にします。

一目見て、「あ~、○○橋ね!」と言えるようになりましょう!

 

 

「桁橋、トラス橋、アーチ橋、ラーメン橋、吊橋、斜張橋、エクストラドーズド橋、潜水橋、可動橋、…」

 

一気に全部を覚えようとするのは無茶ですねぇ!

というわけなので(2回目)、今回は橋の基本型のうち、トラス橋を扱いたいと思います。

あっ、いいっすよ。ひとつの橋梁を一から勉強するなんて久しぶりなんで、楽しみっす。

ありがトラス!

 

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天草五橋1号橋「天門橋」(熊本県宇城市・上天草市)

 

石手川橋梁(愛媛県松山市)

 

しゃあっ トラス橋!

名前の通り、トラス(三角)構造で橋を支える形式の橋梁を指します。

トラス橋の基本型として覚えておきたいのは以下の3つです。

ハウトラス、プラットトラス、ワーレントラス。

上のふたつの橋梁はともにプラットトラス。

専門的な知識は兎も角、「ハ」の字になっているのがハウ、逆「ハ」の字がプラット、「W」字のジグザグがワーレンだと覚えましょう!

 

富山地方鉄道不二越上滝線・常願寺川橋梁(富山県富山市・中新川郡立山町)

 

柏尾橋(長野県飯山市)

 

トラス橋は派生して様々な名前が付帯しますが、その前に一般的な橋名称について。

路(主桁)がどこにあるかで「上路式」「中路式」「下路式」と頭に付きます。

 

さて本題のトラス橋特有の名称、まずは平行弦と曲弦。

補剛桁と弦の上部が平行、すなわち横から見て台形になっているのが平行弦トラス、弦が複数回折れ曲がり横から見て多角形となっているのが曲弦トラスですね。

すなわち、上のふたつの橋梁はともに「下路式平行弦ワーレントラス」ということになりますね。

 

南高橋(東京都中央区)

 

犀川大橋(石川県金沢市)

 

続いて垂直材・鉛直材。

弦から補剛桁へ伸びているタテの部材のことです。

つまりこのふたつの橋梁、前者は「下路式垂直材付曲弦(単純)プラットトラス」、後者は「下路式垂直材付曲弦(単純)ワーレントラス」。

こちらは単純なので覚えやすい!

 

珊瑚橋(岩手県北上市)

 

鹿島橋(静岡県浜松市)

 

注目すべき型として、ゲルバー橋という構造を紹介。

片持ち橋、あるいはカンチレバー橋とも。

片側だけで支えられた空間に水平で突き出される構造全般を指し、ゲルバー橋のみならず、ゲルバー桁橋などもあります。

 

そもそも橋梁はその目的のため、橋脚を中心にトラスやケーブルの構造によって路(主桁)を支えるように設計されています。

手を左右に大きく広げたとき、身体を橋脚だとすれば、腕全体が路であり、腕が上がっている限りの圧力をかけることができるわけです。

こうして上がっている腕を、隣の人繋ぎ、繋いでいる部分は橋脚ではなく蝶番(ヒンジ)で保持している、という構造です。

 

上の珊瑚橋と鹿島橋は件のゲルバー橋。

正直ふつうのトラス橋に見えますが、塔のようになっている箇所の路がヒンジで保持されていることが確認できました。

ゲルバー橋、最初はなにがなんだかで意味不明でしたが、いくつか観察しているうちになんとな~く理解できるようになりました。

なんとなく、ですが。

 

明石海峡大橋(兵庫県神戸市・淡路市)

 

大鳴門橋(兵庫県南あわじ市・徳島県鳴門市)

 

あるいは、吊橋などの構造を補強するためにトラス構造を用いる例。

ここで紹介しますのは、本州四国連絡橋を構成する上の超大型吊橋たちです。

淡路島の南北にあり本州と四国を繋ぎますが、ともに桁の強度と橋全体の安定性を高めるために、桁をトラス構造で組んで剛性を高めています。

 

旭橋(北海道旭川市)

 

これら大型の橋梁で用いられているほか、上の旭橋のように、アーチ橋の補強で部分的に用いられているのを見かけますね。

特に下路式アーチ橋において、桁とアーチ部が(プラット)トラスで組まれているものをブレースドリブアーチと呼びます。

声に出して呼びたいカッコいい名前だァ・・・。

(詳細はアーチ橋の回にてご紹介!)

 

浜崎黒目橋(埼玉県朝霞市)

 

その他、特殊なトラス橋たち。

埼玉県の小さな小川に架かるこちらの歩行者専用橋・浜崎黒目橋はクイーンボストラスかな…?

珍しいトラスは実例が少なすぎて、もしそれが「実例」だったとしても確信ができないという悪循環。

ウーム、断言するためには経験が足りていないですね…。

 

国道391号線にあったポニートラス(北海道川上郡標茶町)

 

他にも頻出なのは、このポニートラスという構造。

左右の主構のみで上部が解放された、比較的小型のトラス橋です。

見ての通りヨコの繋がりがないために軟弱であり、いまでは積極的に採用されることは少ない様子。

ちっちゃくてかわいいね♡しっかり支えろ!

 

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笹瀬橋(京都府相楽郡南山城村)

 

以上、トラス橋の基本についてざっと考えてみました。

総復習すると、例えばこちらの笹瀬橋は「下路式並行弦ポニープラットトラス」。

…ちゃんと現地でサッと言えますかね?

もう少し勉強が必要な気もするけれど、トラス橋ひとつですらこんなにも分類が細かく、大変すぎる!!!

 

吉田橋(山形県南陽市)

 

とよみ大橋(沖縄県豊見城市)

 

いやーもう十分だ、もう充分だろ! 

いえいえまだ残っておりますので 。

 

「桁橋、アーチ橋、ラーメン橋、吊橋、斜張橋、エクストラドーズド橋、潜水橋、可動橋、…」

 

…ということで、近いうちにアーチ橋の考察でもしたいですね。