そのキャンプ場を訪れると、
既にチェックインを待つ車列が出来ていた。



実は宛にしていたキャンプ場が予約出来ず、
急遽こちらへ決めた。


今回はややノープラン。
道中それなりに楽しんでやって来たら、
到着が13時を過ぎてしまった。


前の組が終わるのを車内で待つ。


今回はフリーサイトではないので
場所取りで焦る必要は無いが、
さっさと設営したくて心が逸る。


ようやく受付を済ませ、場内を車で移動。
グリーンパーク泉水はかなり広かった。


面積が約107000㎡と、
東京ドーム2個分はあるらしい。
と言っても大分県民にはいまいちピンと来ない。
ボイボイキャンプ場の約3倍と言ったところ。


ススキに囲まれたフリーサイトや
様々なバンガローの並び立つ小道を辿り、
最深部へ。


ほぼ端っこの寂しいサイトだが、
ソロなのだから、
プライベート感があってよろし。


車を出ると
標高約870mはややひんやり。


今回はかなり冷え込みそうなので
念の為に電源付きサイトにした。


懐かしい涌蓋山(わいたさん)が見える。


小学生の一時期、父の仕事の都合で、
あの山の見える町で暮らした事がある。


転校初日の教室に向かう廊下の
冷たくもフワフワとした
不思議な感触は今でも忘れられない。


確か校歌に「涌蓋山」が入っていたっけ。


まずは地面に転がる邪魔なドングリ拾い。


Colemanのスクリーンキャノピータープを設置。


中にはColemanのインスタントアップドーム。


設営をあらかた終えて、昼メシにする。


やはり、こんな時のカレーヌードルは旨い!


姿は見えねどお近くで
テント設営のハンマーの音がする。


食後は鶴見園の釜入り茶「天下一」で
LAWSONの「カヌレ」を戴く。


ぬぬぬ……冷やしすぎて固い。
今日もクーラーボックスは氷点下の絶好調(笑)


サイト横のドウダンツツジの紅葉が美しい。


日の陰りと共に寒くなってきたので温泉へ。


誰もいない貸し切り風呂状態。

広々とした露天風呂には
湯温の違う浴槽が2つあった。


ひとつはかなり温めで、
こちらは子供連れには有り難いかも。
湯温の高い方でゆったり浸かる。


風呂から戻り、
夕飯の支度の為に火を起こす。


缶ストーブに持参の薪をくべる。
薪は家の裏山でたっぷり拾って持ってきた。


今夜こそおでん。


ビビンバ風焼きおにぎりも用意。


ソロおでんは楽しい。
なんたって玉子を何個食べても良いから(笑)


気温は5℃。焚き火で温まる。


焚き火が燃え尽きたら、もう寝るしかない。


電気毛布とヒーターシュラフと
湯タンポを用意した。


万全な寝床で22時就寝。













朝5時起床。テント内はあったか12℃。


テント内を片付ける。


さすがに外は寒く、気温0℃。


朝日を浴びた涌蓋山が鮮やかに染まっていく。


朝食はチリトマト味のホットドッグと
ポテトサラダのドック。
そして北海道かぼちゃのスープ


スズナリさんのドリップコーヒーは勿論、
やまなみ牧場の飲むヨーグルトと
伊藤園の野菜ジュースも。


涌蓋山の朝陽に移ろう姿を眺めながら、
朝食を味わう。


あの山の麓の小学校での記憶が甦る。


転校したての心細さを紛らせてくれた
教室の窓から見えた遅咲きの桜。


心ときめいた図書室のMOOMINの絵本。


友達と書いたクラス新聞の潜水艦の4コマ漫画。


また転校で去ることが決まり、
クラスでの最後の挨拶に
胸がいっぱいで何も言えなかったこと。


引越しトラックの窓から
みるみる遠ざかって行った涌蓋山。


まるで山が覚えてくれてたように、
忘れていた思い出が次々と溢れてくる。


弟は社会人になって、
再びあの土地を訪れてみたらしい。
弟にとっても特別な場所だったようだ。


もしやあの山に呼ばれて、
カムイは今ここにいるのか。


昨晩の結露はかなり酷かったが、
陽だまりの中に広げたテントは無事乾いた。


全てを積み終えて、いよいよ引き上げである。


「(みんな)ありがとう。さようなら。」


あの日言えずに、
ずっと心の引き出しにあった言葉。


カムイは涌蓋山へ告げて車に乗り込んだ。