僕は時々、不思議な夢を見ます。
ある本を読み、久しぶりにその夢の内容を思い出しました。
ふわふわと気持ちよく、宙を漂っている僕。
とっても心地いい。
とっても自由。
でも、ずっと漂っていると、時々退屈になります。
退屈だなあ、と思うと、
いろんなモノに飛び込んでみます。
ダイブします。
石の中
植物の中
水の中
それら、器になるモノには、特有の波長があります。
その波長を感じることで、様々な刺激や学びが得られます。
これまでずいぶん、いろんな器に飛び込み、
その状態を経験してきました。
学んできました。
ある時、「もっと刺激が欲しいな」と思います。
そして人間へのダイブに興味を抱きます。
でも、なんか怖い。
人間は、重いし濁っているし、
すぐに色んな面倒なものに巻き込まれてしまう。
そんな印象がありました。
どうしようかなと、迷いながら宙を漂っていると、
囁きのようなものが、よぎります。
「お前は、これまでいろんなことを学び、経験してきただろ。
たくさんの知恵が、お前の中に溜められている。
お前は、この世界の仕組みを理解したと思っている。
もうこれ以上、学ぶことなんてない、とさえ思っている。
だから退屈に感じてしまう。
その知恵を、人の身体という器を通じて、体験してごらん。
お前が得た知恵を使って、
お前が望む通りの、素晴らしい生きる体験を、実現してごらん」
ゆったりと宙を流れながら、囁きに耳をたて、
しだいに、その考えに心を奪われる僕。
「そうかも知れない。
こんなにもたくさんの知恵を得ているのだから、
どんな状況でも、僕は、
僕の思い通りの生き方ができるだろう」
きっと大丈夫。
自分が学んできた知恵を活かしたい。
活かしたい。
試したい
その思いに至った時、
「本当にいいの?」
と尋ねる声があります。
僕は「はい」と答えます。
突然感じるズッシリとした重み。
狭いところに押し込まれ、
自由が奪われた感覚。
そして息苦しさ。
どうやら人間という器の中に入ってしまったらしい。
その気づきと同時に、
人間として生きるための様々な制約やしがらみを思い出します。
ああそうだった、
人間というものはこんなに面倒な器だった、との思い。
逃れようと思っても、もう遅い。
ならば、前を向こう。
これは自分で選んだ選択。
この体験からしっかり学んでいかなければ。
そんな決意のようなものを抱いた瞬間、
僕は目を覚まします。
何度か見たことがある夢ですが、
現実に体験した出来事のような、鮮明なイメージが、
いつも脳裏に焼き付いています。
僕の中にはいつも「試したい」という欲求があります。
この夢がどういう意味を持つものなのかは分かりませんが、
「試したい」という欲求が持つ理由を、
いつも再確認させられる夢なのです。
不思議な夢の、お話でした。
※彩湖(埼玉県)にて撮影