宝塚歌劇雪組公演『壬生義士伝』の感想の続き・・・の巻 | 乾パンのブログ

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この時の続き・・・

 

この物語のベースとなるのが、1885年(明治十八年)の鹿鳴館。

そこに集まった、軍医総監松本良順、警官となった元新選組組員斎藤一、池波六三郎、

夫婦となった吉村貫一郎の娘と大野次郎右衛門の息子、ダンス教師はてなマークのビショップ夫人等が、

過去の吉村を新選組を、語る・・・構造です。

 

舞咲りん演ずるビショップ夫人が、外国人が日本語を語る風の舌っ足らずな口調が耳障りでにひひ

まぁこれがヒメの持ち味でもありますからね。

玉の輿云々語るビショップ夫人が鬱陶しいえっ

 

言っていましたが、明治初期の政府高官では芸者上がりの奥さんが結構多い。

これはかつての勤王の志士達が京都で芸者相手に遊び呆けていた繋がりと共に、

彼女らが接待のプロだったことも一因と言われています。

 

かつては大奥に閉じ込められていた奥方衆は、

明治の到来と共に西洋風の社交界にデビューしなくてはならなくなって・・・

パーティーなどでお客を接待するホステス(女主人)役は、なかなか出来ないですからね。

多数の外国人を迎えて語学もマナーも達者でなければならない。

玉の輿でも大変な商売ですな。

 

沖田に「3年も生きられない・・・」と言っていた斎藤が

結局維新を生き抜いて明治を迎えるわけだし、人生いろいろです。

 

 

主人公吉村貫一郎は望海風斗

東北の貧しい足軽同心が生活苦のために妻子をおいて都会に出稼ぎに行く。

剣術の腕は抜群であった。

それを生かす仕事は・・・新選組に入って人を切りまくって日銭を稼ぐこと。

 

平常は東北人らしい朴訥で謙虚で腰の低い態度を取るものの、

危急を要する場合は強靱な粘り腰を発揮して生き抜いていく。

 

その飾らない言動に最初は誤解していた人たちも徐々に彼の生き方に惹かれていく。

明日をも知れない激動の時代でも何とか吉村だけは生き延びて欲しいと・・・

 

優しさと強さを兼ね備えた吉村はだいもんにはうってつけの役に感じました。

結構複雑な人ですよね!?

でもその生き方の真にあるのは、妻子のためには絶対に死ねない、といつでも死ねる、

という矛盾した感情にあるように私は思えました。

 

 

貫一郎の妻しづと京の良いとこのお嬢さんみよの二役は真彩希帆

トップ娘役が(全く別人格の)二役とは珍しいですね。

貧しいながら夫や子供を支えて生きる、絵に描いたような良妻賢母。

 

暴れ回るって役じゃないから、難しいだろうなぁ

衣装は当然ながらボロボロの着物ばかり。

 

ってなわけで後半にお侠なお嬢様みよを演じさせたんだろうと察します。

もし雪組に強力若手路線娘役が居れば、その人がみよを演じたと思います。

 

 

大野次郎右衛門は彩風咲奈

貫一郎の竹馬の友であった大野ですが、やがて運命が2人を引き裂いていく・・・

ってなわけではないですが、吉村に引導を渡さざるを得ない立場に追い詰められていく大野を

咲奈は好演していたと思います。

だいもんにたいしても押し出しの強さを発揮している咲奈を初めて観た気がします。

もっともだいもんが引いてあげているのカモしれませんが・・・

中盤は新選組の場面ばかりだし、印象度は高いけど出番は少なし。

 

松本良順は専科特出凪七瑠海

鹿鳴館場面における一種の狂言回し的な役割なんかなはてなマーク

一回観ただけでは・・・よく分かんなかったです。

 

土方歳三は彩凪翔

鬼の副長ですが、今回は個性豊かな新選組のメンツをまとめあげる裏方役的に感じました。

 

斎藤一は朝美絢

最初の鹿鳴館場面で右腰に刀を差していてビックリビックリマーク

新選組群舞では左手で抜いた刀を右手に持って踊っていました。

1人だけ左手に刀を持って踊ったら危ないからね。

目つきに危なさと妖しさを感じて格好良いドキドキ

切れたナイフってな感じ。

徐々に吉村に惹かれていく表情も良い。

 

沖田総司は永久輝せあ

今回はあーさひとこコンビで組む場面が多かったです。

病弱な陰な部分よりも、若々しくてカラっとした陽の部分が目立つ演出だったように感じました。

 

谷三十郎は奏乃はると

影の主役ですな音譜

口ひげはやしたコメディリリーフ役

言動が一々面白くて、にわにわが出てくるとどうしても目線がそっちに行ってしまいます。

実際の谷は槍の名手でかなりの腕前だったようですがね。

 

伊東甲子太郎は煌羽レオ

カリもよく目立つ男役さんです。

陰のある優男やらせたら最高です。

なお、実際の伊東もかなりの剣豪。

酒に酔わせて闇夜でだまし討ちされて絶命。

 

原田左之助橘幸と永倉新八真地佑果

2人いつも一緒ラブラブ

新鮮組の説明役ですかね。

 

池波六三郎は縣千

雪組の次世代のスター候補縣は、新選組隊士として生き残って明治政府では

斎藤と共に警官となる池波役ですか。

新選組の生き残りで池波っていたっけなはてなマーク

架空の人物かな!?

 

貫一郎の息子である嘉一郎は彩海せら

初々しい少年役で印象に残りました。

ラストの秋田戦争で○○してしまうというエピソードを見て悲しくなりましたもんショック!

幕末期は佐幕派だって西洋軍術の取得に躍起になっていたし、官軍に対して弓矢で武装はちょっとな。

 

娘役では・・・

上記の通り、舞咲りんのビショップ夫人の印象が強烈でした。

貫一郎の娘、みつを少女時代は彩みちる、長じてからは朝月希和が演じていましたな。

みちるちゃんは子役でも違和感無く演じられますからね。

 

その他、専科特出梨花ますみは大野の実母役。

ミトさん、ショーは欠席でしたから、こういう使い方だったら組長でもよかったのにな・・・

 

とにかく娘役の場面が少ない芝居でして・・・

だから鹿鳴館の場面があるんだろうなぁ

 

 

東北地方の貧しい武士を描いた作品・・・、と言うとどうしても

藤沢周平先生の作品を思い出してしまいます。

 

江戸時代も幕末近くなると、様々な幕藩体制の構造的矛盾が噴出してきます。

其れを身近な視線で描くかはてなマーク大局的視線で描くかはてなマーク

地味かもしれませんが、なかなか面白い題材が眠っていると思いますよ。